建築家デイヴィッド・アジャイ、性的不正行為の告発に反論。「私は#MeToo運動の犠牲者」と発言
建築家デイヴィッド・アジャイがポッドキャスト番組に出演し、2023年に性的不正行為で告発された件について、初めて公の場で発言した。
2023年に3人の女性から性的不正行為で告発された建築家デイヴィッド・アジャイが、建築評論家のティム・エイブラハムズのポッドキャスト番組に出演し、告発を詳報したフィナンシャル・タイムズ紙の記事について初めてコメントした。
「極めて不公平な記事だと思います。私を破滅させることにしか興味がないように感じましたし、私は#MeToo運動の犠牲者だったと言えるでしょう。フィナンシャル・タイムズ紙の記事が出たことで、私に対する信頼は大きく揺らぎました。メディアがひとつのトピックを騒ぎ立て、次の話題に移っていくまでのサイクルや、記事が作られる方法は理解していますし、私の言い分を聞こうという関心がなかったこともわかっています」
とはいえ、Dezeenが記事に記しているように、アジャイは記事のどの点を不公平だと考えるのかを明確には述べていない。当時、US版ARTnewsをはじめ、多くのメディアがコメントを求めたにもかかわらず、フィナンシャル・タイムズ紙に対する声明以外の説明を行わなかったからだ。
こうした報道を受けて、アジャイをプロジェクトに起用していた複数の機関は、彼との関係を断つ判断を下した。その一例が、ニューヨーク州ハーレムに新たに開館したスタジオ美術館だ。
一方で、ケイト・ワグナーは『Art in America』のコラムで、スタジオ美術館やプリンストン大学美術館など、「女性権利運動に口先だけの支持を示しつつ」もアジャイが設計した文化機関が相次いで開館している点を指摘し、#MeToo運動の現状について論じている。
「性的虐待やハラスメントと向き合う手段として、#MeToo運動が起きたことは、多くの文化機関にとって当時は進歩だったと言える。しかし、大々的な運動となってから約10年が経った今となっては、完全な失敗でもある」
アジャイは番組内で、自身の現状を「波が去るまで待つしかない状況だ」と語り、これまでの活動が失われないことを願っていた。(翻訳:編集部)
from ARTnews