「クリスマス・ディナーは美術館で」が新定番! 聖夜を彩るアートな限定メニュー5選
美術館併設のカフェやレストランは単なる休憩の場ではなく、鑑賞体験の延長線にある「もうひとつの展示室」だ。とりわけクリスマスシーズンには今しか味わえない限定メニューを提供する美術館も少なくない。今年はアートなメニューとともに、美術館で聖なるひとときを味わい尽くそう。

美術館を訪れる楽しみは、展示室の外側にもある。作品と静かに向き合ったあと、余韻を抱えたまま席に着く併設レストランやカフェは単なる「休憩の場」ではなく、鑑賞体験の延長線にある「もうひとつの展示室」だ。とりわけクリスマスシーズンには、各館が趣向を凝らしたメニューで鑑賞者を迎え入れる。
今回は都内の5つの美術館から、今年のクリスマスのために特別に用意されたクリスマスを彩るメニューを紹介する。美術鑑賞を拡張するこれらの本格的なガストロノミーは、目も舌も踊る小さな祝祭となるだろう。
冬の味覚が詰め込まれたフルコース【東京国立近代美術館】
東京国立近代美術館のレストランと言えば、三國清三が「芸術と料理」をテーマにプロデュースするラー・エ・ミクニ。12月20日~25日のみ供される今年のクリスマスコースは、三國の出身地である北海道由来の食材を多くフィーチャーしている。例えばパスタ。じゃがいもを使ったブランダード風のラヴィオリを、北海道産の甘いズワイガニのソースで和えた。魚料理は北海道噴火湾沖穴子のマトロート(赤ワイン煮)で、黒キャベツとの組み合わせが新鮮だ。オニオングラタンスープは、北海道長沼産の玉葱の旨味が凝縮されている。デザートは、ミクニの系列でもある北海道上川大雪酒造の日本酒を使った「サヴァラン」と呼ばれるスイーツ。クリームにも酒粕を混ぜ込んだ、日本酒の香り豊かな一品である。ほかにもカリフラワーと赤パプリカを使ったムースやパテ・アンクルート(パテのパイ包み焼き)、島根県産勝部牛のローストビーフと盛りだくさん。充実の7皿でアート鑑賞を締めくくろう。
ラー・エ・ミクニ
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1 東京国立近代美術館内
クリスマスディナーコース:12月20日~25日17:30~21:00(予約のみ、最終入店19:30)
通常営業時間:ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー17:30~21:00(予約のみ、最終入店19:00)
休業日:日曜日のディナー および 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
黒川建築と呼応するフレンチ【国立新美術館】
国立新美術館内のフランス料理店、ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ。逆円錐の上部に位置するその店は「天空のブラッスリー」とも称され、被写体としても国内外からの来館者に人気を博す。そんな同店で毎年人気なのが12月25日まで提供のクリスマス限定のコースメニュー「MENU DE NOËL」だ。カンパチときゅうりのタルタルに西洋わさびとキャビアを添えた前菜に始まり、続く魚料理はアイオリソースが香る真鱈のマルセイユ風。肉料理の鴨胸肉のローストは、ビーツのピューレと赤ワインソース、鴨胸肉が織りなす赤のグラデーションと、根セロリのフランの白がクリスマスらしい色合いだ。デザートのガトー・オペラにはメレンゲの雪だるまが乗っていて、その予想外にポップな表情につい笑顔になってしまう。12月23日には食後にプロマジシャンの手品を楽しめる特別パーティーを実施(25組限定、要予約)。味はもちろん、磨かれた皿に反射する黒川紀章の建築と相まって、視覚的にも満ち足りた体験を味わえるコースだ。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ
住所:東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館3F
通常営業時間:ランチ11:00~(L.O.14:00)、ディナー16:00~21:00
休業日:火曜日(祝日の場合翌日)
イルミネーションとともに楽しみたい洋館ディナー【三菱一号館美術館】
明治時代の洋風事務所を復元した三菱一号館美術館。併設のCafé 1894では、12月23〜25日限定でクリスマスディナーコースが楽しめる。スパークリングワインから幕を開ける華やかな夜は、白いんげん豆のなめらかなムースとサーモンマリネの前菜から。メインには、フランスのクリスマスに欠かせないオマール海老を用いた蒸し料理と、しっとりと火入れされたステーキが並び、テーブルは一気に祝祭ムードに包まれる。デザートは、あまおうとホワイトチョコレートのタルトと3種の焼き菓子のプレート。コース利用者には、現在開催中の「アール・デコとモード」展の特別招待券も配られ(14:00以降店頭で要受け取り)、希望すれば食前に鑑賞することもできる。食とアートを楽しんだあとは、丸の内仲通りの「丸の内イルミネーション」で1日を締めくくろう。
三菱一号館美術館 Café 1894
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2 1F
クリスマスディナーコース:12月23日、24日、25日の18:00~、20:30~
通常営業時間:11:00~23:00(L.O22:00)※日によって営業時間の変更あり。詳しくはこちら
休業日:不定休
昼も夜も楽しみたい上野のローストビーフ【国立西洋美術館】
夜の上野恩賜公園というと、桜の季節を思い浮かべるかもしれない。しかし、冬の夜の上野公園も負けていない。不忍池はイルミネーションで輝き、期間限定でパンダのオブジェも登場する。加えて、今年は袴腰広場でもイルミネーションやクリスマスマーケットを開催中だ。そんな煌びやかな冬の上野公園を訪れる際には、国立西洋美術館にも足を運ぼう。2026年2月15日まで開催中の「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」でも賑わう同館は、金曜日と土曜日は20時まで開館。12月25日までは「美術館でクリスマス」と題したイベントを開催。併設のCAFÉ すいれんでは、人気の「ローストビーフコース」がクリスマスの推しメニューだ。前菜はスモークサーモンと生ハム、紫キャベツのグレープフルーツマリネ、そしてほうれん草のフリッタータ。メインのローストビーフのほかに、野菜とベーコンがたっぷりはいったミネストローネとパン、そして締めくくりは、クリスマスらしいグリーンの抹茶パウダーをふりかけたティラミス。しっかりめのランチ、あるいは週末の軽めのディナーにも良いボリューム感。日本で唯一のル・コルビュジエ建築で、中庭越しに彫刻作品を眺めながら上野の冬の夜を楽しもう。
CAFÉ すいれん
東京都台東区上野公園7-7 国立西洋美術館本館
通常営業時間:10:00〜17:30(食事11:00〜16:45L.O.、喫茶10:00〜17:15L.O.)
金・土曜日10:00〜20:00(食事11:00〜19:10L.O.、喫茶10:00〜19:30L.O.)
※食事提供時間は時期により変動あり、美術館内に掲示
休業日:月曜日(祝日の場合翌平日)、年末年始(12/28〜1/1) ※美術館に準ずる
金のごとく輝くクリスマスチーズ【東京都庭園美術館】
東京都庭園美術館の敷地内に佇むチーズ専門店、フェルミエ白金台店が提供するのは「モンドール ホリデープレート」。モンドールと言えば、生産時期が8月15日~3月15日、販売期間は9月10日~5月10日までと厳格に定められた秋冬チーズの代名詞だ。自然豊かな庭園美術館の木漏れ日が窓から差し込むと、「金の山」を意味するその名の通り、チーズが輝いて見える。モミの木の一種であるエピセアに包まれて熟成されるというその製法もクリスマス感たっぷり。一口食べれば、クリーミーな甘さにウッディな香りがふわっと広がる。パン3切れとセミドライトマトという味変要員も揃っているので、ペース配分を熟考して食べよう。モンドールの味が気に入ったなら、テイクアウトで丸ごとひとつ買って家でチーズフォンデュにするのが店長のおすすめだ。
フェルミエ白金台店
住所:東京都港区白金台5-21-9 東京都庭園美術館敷地内
営業時間:10:00~18:00
休業日:月曜日 ※美術館に準ずる





















































