サザビーズでナイキのオークションがスタート! 50年前の「ムーンシューズ」試作品からヴァージルとのコラボまで
11月29日、サザビーズは、ナイキに特化したオンラインオークションを開始。スニーカー、アクセサリー、そしてスニーカーマニアにとって幻の一品である創業当時の試作品など、100点以上が出品された。
オークションはナイキの創設50周年にちなんで「フィフティ」と名付けられ、12月14日に開催される予定。
2部構成となる今回のオークションだが、ひとつは、サザビーズが選んだハイライト、もうひとつは、スーパーボウルのチャンピオンにもなった元アメリカンフットボール選手、ビクター・クルーズが選んだハイライトだ。
「スニーカーは文化的な芸術品であり、人生のさまざまな瞬間や記憶を呼び覚ます存在でもあります」 と話すクルーズは、かつてナイキとコラボレーションしており、300足以上のナイキシューズコレクターとしても有名だ。
スニーカーのコレクションは、いまやアート市場にも浸透しつつある。一流のオークションハウスも経済的に余裕のあるミレニアル世代をいかに取り込むかに腐心している。
今回のセールの目玉と言えるのが、ナイキ×ルイ・ヴィトンのエアフォース1とパイロットケース(サイズ11)。このシューズは、ルイ・ヴィトンのメンズラインでアーティスティック・ディレクターを務め、2021年に死去したヴァージル・アブローとのパートナーシップでデザインされたもの。ナイキで最人気を誇るスニーカーのDNAとルイ・ヴィトンの徽章が組み合わされたこの貴重なアイテムの予想落札価格は、15万ドルから20万ドルとなっている。
クルーズはまた、ナイキのエアジョーダン3 「ビクトリー・ラップ」(サイズ12)の貴重なプロモ用サンプルを特別出品。これは、2019年に死去したラッパーのニプシー・ハッスルが18年にリリースしたファーストスタジオアルバムを記念して作られたもの。クルーズは、「ニプシーの音楽だけでなく、彼のアイデアや生き方、彼が象徴するものに大きな影響を受けました。彼は常に地元のコミュニティを盛り上げようとしていました。この靴をオークションに出品することで、彼に敬意を表したい」 とコメントした。
しかし、ナイキの歴史に興味がある人にとって最もエキサイティングなのは、1972年のムーンシューズの試作品(予想落札価格8万ドル〜12万ドル)だろう。このランニングシューズは、ナイキの共同創業者でオレゴン大学の陸上コーチであったビル・バウワーマンがデザインし、ナイキの最初の社員の1人であるジェフ・ホリスターが手作業で製作したもの。サザビーズは、「ハンドメイドのために不揃いの部分があり、一点ものであることが分かる」と説明する。どちらのシューズにもナイキの名前はプリントされておらず、スニーカーの歴史に名を残すスウッシュ(ナイキのトレードマーク)だけがその証拠だ。
ムーンシューズに採用されたワッフルソールは、ナイキにとって最初の大きなイノベーションだった。「ムーンシューズ」という名は、ニール・アームストロングとエドウィン・「バズ」・オルドリンが初めて月面を歩いたときに残した足跡とソールの形状がに似ていることから、付けられたという。 (翻訳:編集部)
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