イギリスで「第二のポンペイ」発見か。古代ローマの広大なヴィラ遺構を史跡公園の地中で確認
イギリス南西部のウェールズ地方で、いまだかつてない規模の古代ローマの邸宅遺構が確認された。調査に携わる研究者らは、イタリアのポンペイ遺跡に匹敵する歴史遺産の可能性があるとしている。

イギリス・ウェールズ地方のポート・タルボット近郊で、古代ローマ時代にさかのぼる邸宅の遺構が地中に存在することが分かった。発見したのは地中レーダー探査を行っていた考古学研究者たちで、地表から約90センチの深さにある遺構の範囲から、この場所がウェールズのポンペイになるかもしれないと期待を寄せている。
「まさに目玉が飛び出そうになりました」
地中レーダーが「巨大な構造物」を捉えた瞬間の驚きをBBCに語ったのは、調査プロジェクトのリーダーで、スウォンジー大学歴史遺産研究・研修センターの共同ディレクターを務めるアレックス・ラングランズだ。調査チームには同センターのほか、現地の自治体であるニース・ポート・タルボット・カウンシルおよびマーガム修道院教会が参加している。
地中に埋もれ、「保存状態は非常に良好」
この遺構は、ポート・タルボットの南にあるマーガム・カントリー・パーク内で見つかった。約340ヘクタールの広大な敷地には12世紀にできたシトー会修道院、18世紀の温室や19世紀の城が点在している。史跡公園として保存されてきた場所の地中に埋もれているため、面積560平方メートルを超える遺構の保存状態は非常に良好である可能性が高いと見られる。
ラングランズが、西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火で灰に埋もれたポンペイ遺跡を引き合いに出したのには多少の遊び心があったかもしれない。しかしBBCの取材に対して彼は、新たに発見された遺構の「保存状態の良さからすると、この比喩はあたらずといえども遠からずと言えるでしょう」と答えた。また、プレスリリースでラグランズは次のように述べている。
「これは驚くべき発見です。常々、ブリテン島がローマ帝国の属州だった時代の遺物が見つかるはずだと考えていました。しかし、1世紀から10世紀までの南ウェールズの謎に包まれた歴史について、これほど明確かつ大きな可能性を秘めた発見になるとは夢にも思いませんでした」
ウェールズの歴史認識を書き換え得る発見
ラングランズが「実に感動的で威厳に満ちている」と表現した邸宅の遺構から推測されているのは、2つの翼部とベランダ、回廊を備え、正面側に最大6室、裏に8つの部屋がある全長約43メートルの建造物だ。彼はこの邸宅が「大規模な農業用地の中心」にあり、「地元の有力者がここをくつろぎの場所にしていたのはほぼ確実」だとしてこう説明している。
「考古学的証拠の保存状態が非常に良好であることに大きな期待が持てます。それゆえに、1世紀、2世紀、3世紀、4世紀、そしておそらく5世紀に至る人々の生活について膨大な情報を得られる可能性があります。この遺跡にはウェールズの歴史を物語る、これまでにない貴重な情報が詰まっているかもしれないのです」

ラングランズはさらに、この発見が「ローマ帝国の属州だったブリタニア時代における南ウェールズへの認識を書き換える可能性がある」とし、こう続けた。
「ウェールズのこの地域は、帝国の辺境のような場所ではありません。ここにはイングランド南部の農業中心地に見られるものと同じくらい洗練され、高い社会的地位を示す建物が存在していたのです」
ウェールズでこれまでに発見されたローマ時代の建造物の大半は、要塞や軍事施設だった。BBCによれば、今回のような壮麗な邸宅は比較的珍しい。なお、遺構の正確な位置は、盗掘を防ぐために現時点では非公開とされている。詳細は1月17日にマーガム修道院で発表される予定。(翻訳:石井佳子)
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