2026年サーペンタイン・パビリオンは「ランザ・アトリエ」──曲線と光で境界が溶け合う建築

ロンドンのケンジントン・ガーデンで毎年夏に設営される「サーペンタイン・パビリオン」。その2026年版の設計者に、メキシコシティを拠点とする建築スタジオ、「ランザ・アトリエ(LANZA atelier)」が選ばれた。25回目を迎える今年は、初代パビリオンを手がけたザハ・ハディドを称える特別建築プログラムも同時開催される。

2026年サーペンタイン・パビリオンの完成予想図。Photo: Instagram/@lanzaatelier

ロンドンのケンジントン・ガーデンで2026年6月6日から10月25日まで開催される「サーペンタイン・パビリオン」の設計者に、メキシコシティを拠点とする建築スタジオ、「ランザ・アトリエ(LANZA atelier)」が選ばれた。

サーペンタイン・パビリオンは、自然豊かなケンジントン・ガーデンを舞台に毎年夏に建設される期間限定の建築プロジェクト。2000年の第1回を皮切りに、ザハ・ハディド(2000)、伊東豊雄+セシル・バルモンド(2002)、フランク・ゲーリー(2008)、SANAA(2009)、藤本壮介(2013)、マリーナ・タバスム(2025)など、世界的に著名な建築家が参加してきた。芸術監督は2006年以降、ハンス・ウルリッヒ・オブリストが務めている。

2026年版のパビリオンを手がける「ランザ・アトリエ」は、2015年にイサベル・アバスカルとアレッサンドロ・アリエンツォによってメキシコシティで設立された建築スタジオだ。地域の文脈や素材、環境との関係性を重視し、地元の材料や職人技を取り入れた、手仕事と地域性に根ざした建築で知られている。

プレスリリースによると今回のパビリオンでは、古代エジプトに起源を持ち、後にオランダ人技術者によってイギリスに伝えられた建築様式「蛇行壁(サーペンタイン・ウォール)」が参照される。レンガを蛇のように波打つ形状で組み上げるこの壁は、少ない材料で高い安定性を得られる構造を持ち、「クリンクル・クランクル・ウォール」とも呼ばれる。

2026年サーペンタイン・パビリオンの完成予想図。Photo: Instagram/@lanzaatelier
2026年サーペンタイン・パビリオンの完成予想図。Photo: Instagram/@lanzaatelier
LANZA atelierのイサベル・アバスカル(写真左)とアレッサンドロ・アリエンツォ。Photo: Instagram/@lanzaatelier

もう一方の壁は樹木の茂みに沿って曲線を描き、2つの壁の間には煉瓦柱が木立のように立って半透明の屋根を軽やかに支える構成となる。この構造によって、光や空気が内部に浸透し、囲まれた空間と外部との境界が柔らかく溶け合うという。

サーペンタイン・ギャラリーのCEO、ベッティーナ・コレックは、パビリオンの委託について「開かれた、誰もがアクセスできる場で、挑戦的なアイデアを試すことができる非常に稀な機会」だと語る。また本作について、「壁の内側に閉じた建築ではなく、その外側へと広がっていく構造として構想されており、建築・ランドスケープ・人々を結びつける存在になる」と述べている。

芸術監督のハンス・ウルリッヒ・オブリストはランザ・アトリエの建築について、「常にその土地の文脈や素材、人々の実体験と深く関わっています。彼ら自身の言葉を借りれば、エネルギーが持続する現代的な空間をつくっているのです」と評価する。さらにこのパビリオンについて、「レクチャーや映画上映、パフォーマンスが行われる『コンテンツを生み出す装置』になるでしょう」と付け加えた。

25回目を数える今年は、初代サーペンタイン・パビリオンを設計したザハ・ハディドの功績を称え、サーペンタイン・サウスにて特別な建築プログラムも同時開催される予定だ。(翻訳:編集部)

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