ルーブル窃盗事件、犯行中の未公開映像が明らかに。現場には警備員らの姿も

ルーブル美術館で昨年10月19日に起きた大胆な窃盗事件の未公開映像が、フランスの公共放送フランス・テレヴィジオンの調査報道番組で放送された。この事件では、犯人グループが155億円相当の宝飾品を奪って逃走している。

2025年10月19日に155億円相当の宝飾品窃盗事件が起きたルーブル美術館。写真中央は盗まれた中に含まれていたナポレオン3世の皇后ウジェニーのコサージュ・ボウ(2023年10月撮影)。Photo: Zhang Mingming/VCG via Getty Images

1月18日、フランス公共放送の調査報道番組「Complément d’enquête(追加調査)」で、昨年10月にパリで発生したルーブル美術館窃盗事件の未公開映像が放送された。約4分間の生々しい防犯カメラ映像には、警備員が10メートルほど離れた場所で立ちすくむ中、ギャラリー・アポロンに侵入した実行犯たちが、拳とアングルグラインダーで複数の展示ケースを破壊する様子が映し出されている。

ロンドン・タイムズ紙とスペインのエル・パイス紙が報じたところによると、複数の角度から撮影された映像が捉えていたのは、窃盗が行われている間ほぼ動かないままの警備員たちだ。1人がロープを張る支柱を手にして犯人に立ち向かうように見えたが、結局は引き下がった。電話をかけている警備員もいるが、残りは呆然と遠巻きにしているだけのように見える。

この映像は、10月に公表されたセキュリティ設備調査の結果と、事件後に開催された上院公聴会での証言を裏付けるものと見られる。調査の結果、ルーブル美術館の警備システムは「時代遅れで不十分」と結論づけられ、正常に機能する防犯カメラが著しく不足していることが指摘された。公聴会の1つに出席した同館館長のローランス・デ・カールは、事件の様子が録画されていなかったのは、現場の展示室を監視していた唯一のカメラが正しい方向を向いていなかったためだと述べている。

捜査当局はその後、侵入地点付近のカメラが捉えた映像が存在することを発見した。しかし、公聴会で明らかにされたように、侵入発生時、警備システムの担当者が適切な映像にアクセスするまで8分を要している。理由は全カメラ映像を同時に確認するのに十分なモニターが監視室に設置されていなかったためで、必要な映像が画面に映し出された頃には犯人たちは既に逃走していたという。

フランスでは窃盗事件による衝撃の余波がまだ収まっていない。この防犯カメラ映像が明らかになったことで、ルーブル美術館の所蔵品保護がまったくの無防備だったことに対する国民の怒りと批判はさらに高まるだろう。なお、1月20日時点でルーブル美術館は、新たに公開された映像について公式コメントを出していない。(翻訳:石井佳子)

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