2025年に「消えた美術品」──世界を揺るがしたアート盗難事件10選【2025年アートニュースまとめ】
ルーブル美術館から王室の宝飾品が盗み出されたり、ドアを爆破して美術館に侵入するなど、まるで映画のような窃盗事件が世界各地で起きた2025年。盗まれた文化財の行方と犯人たちの手口を、10本のニュースで振り返る。
盗まれた「ルーブル美術館の至宝」が明らかに。計り知れない価値を持つ宝飾8点はどこへ?

10月19日、パリのルーブル美術館にプロの窃盗団が侵入し、皇帝ナポレオン3世と皇后ウジェニーが所有していたものを含む「計り知れない価値」を持つ王室の宝飾品が盗まれた。盗まれた宝飾品は以前として見つかっておらず、民間保険がかけられていないことから、盗品を回収できなかった場合は損失に対する補償を国は受けられないという。
ルーブル美術館強盗の裏で新たな事件。フランスの博物館で「1600万円相当の硬貨」を狙いすまして襲撃

ルーブル美術館で強盗事件が起こった10月19日、フランス北東部にあるラングレのドゥニ・ディドロ啓蒙の館でも約2000枚の金貨と銀貨が盗まれていたことが分かった。硬貨の推定価値は約9万ユーロ(約1600万円)とされる。
オークランド美術館で1000点超の盗難。過去15年間で3度目、米文化遺産の深刻な損失

カリフォルニア州オークランドにあるオークランド・ミュージアム・オブ・カリフォルニア(OMCA)のコレクションから1000点以上の収蔵品が盗まれていたことが明らかになった。単独、もしくは複数からなる窃盗犯がOMCAの別棟保管施設に侵入し、宝飾品、貴金属や真珠、ネイティブ・アメリカンの籠や道具、アンティークのダゲレオタイプ写真、政治的バッジなどのエフェメラ(一次的な印刷物)を含む多数の文化遺産を盗んだという。
7億円相当の「黄金の兜」強奪事件、容疑者逮捕も盗品は行方不明。当局は「盗品追跡に全力を注ぐ」

今年1月、オランダ・ドレンツ美術館のドアが爆破され、約7億円相当の黄金の兜などが盗まれた。4月23日に事件の容疑者2人が新たに逮捕されたが、ルーマニアの貴重な古代遺物は依然見つかっていない。
ピカソの絵画、列車輸送中に姿を消す。目的地目前で一晩停車、不可解な空白時間に何が起きた?

10月2日、スペイン・グラナダで開催する展覧会のためにマドリードから輸送中の美術品57点のうち、パブロ・ピカソの絵画《ギターのある静物》(1919)が、展覧会出品のためにスペイン・マドリードからグラナダへの輸送途中に行方不明となる事件が起こった。
マティスの版画を狙った白昼の盗難事件、容疑者の1人を特定。超希少本『ジャズ』も標的に?

12月7日、ブラジル・サンパウロのマリオ・デ・アンドラーデ図書館で開催されていた「本から美術館へ」展の会場に武装した2人組が押し入り、アンリ・マティスの版画8点とブラジルの巨匠カンディド・ポルティナリの版画5点を盗んで逃走した。
重要遺物「ファラオの金の腕輪」を盗んだ罪でエジプト博物館職員が逮捕。60万円で売却、溶かされる

エジプト・カイロの文化当局は9月16日、エジプト博物館から3000年前のアメンエムオペ王の純金製腕輪が盗まれたと発表。その2日後、修復担当の博物館職員が腕輪を持ち出して4025ドル(約60万円)で売却、溶かされていたことが明らかになった。
パリの有名博物館から1億円相当の金標本が盗まれる。館長は「極めて専門的なチームによる犯行」と証言

9月16日の早朝に、フランス・パリ5区にある自然史博物館に窃盗団が侵入したとFrance24が報じた。窃盗団はアングルグラインダーとバーナーを使って博物館に侵入し、地質学・鉱物学ギャラリーから精製されていない金(自然金)の標本数点を盗み出した。その中には、同館の宝物と呼ばれている、9×8.5センチの自然金と石英の標本があった。
ポンペイ遺跡で観光客が石を持ち出し、加重窃盗容疑。約26万の罰金の可能性

8月14日、ポンペイ考古学公園は、遺跡から石5個とレンガ1個を盗んだ観光客が加重窃盗の容疑でイタリア当局に通報・告発されたと発表した。考古学公園の規則では、遺跡の遺産を保護するため、いかなる物品や破片の持ち出しを禁じている。男性は加重窃盗罪で告発されており、もし起訴されて有罪となれば最大6年の懲役と1500ユーロ(約26万円)の罰金が科される可能性がある。
盗まれた幻のギブソンがメトロポリタン美術館に? 元ローリング・ストーンズのメンバーが異議

今年5月、メトロポリタン美術館に500本のギターコレクションが寄贈されて話題になった。だがローリング・ストーンズの元ギタリスト、ミック・テイラーは、その中に自身がかつて所有し、1970年代に盗まれたギブソン・レスポール・スタンダードがあると主張している。