テート・モダン、2026年「タービンホール・コミッション」にタレク・アトゥイ。音と振動を探求する学際的アーティスト

ロンドンの現代美術館テート・モダンは、毎年1人の国際的アーティストに同館を象徴する大空間タービンホールでの新作発表を委託している。その2026年委託作家に、サウンドアーティストのタレク・アトゥイが選ばれた。

昨年10月にポンピドゥー・センターで行われたイッセイ ミヤケ2026年春夏コレクションショーの音楽を手がけたタレク・アトゥイ。Photo: ©Luna Conte

テート・モダンのタービンホールで毎年行われる「ヒュンダイ・コミッション」の2026年アーティストに、ベイルート出身でパリを拠点に活動するタレク・アトゥイが選ばれた。アトゥイの作品は、今年10月13日から2027年4月まで展示される。キュレーションを担当するのは、テート・モダンの国際美術キュレーター、ナビラ・アブデル・ナビとディナ・アフマデエワ。

アトゥイは、他のアーティストや作曲家、メーカーとの共同制作による特注楽器を用いた複雑なサウンド・インスタレーションで知られている。ガラスや水、陶器などを組み込んだオブジェは、触れたり、息を吹きかけたりすることで、あるいはモーターによって作動する。こうした作品は、世界各国の音楽史を詳細にリサーチすることから生まれるものだ。

アトゥイはこれまで、ベルギーのゲント現代美術館、チューリッヒのルマ・ヴェストバウ、シドニーのオーストラリア現代美術館、ソウルのアートソンジェセンターで個展を開催し、2022年にはスザンヌ・ディール・ブース/FLAGアート財団賞を受賞している。その作品は2023年と2021年の光州ビエンナーレ、2022年イスタンブール・ビエンナーレ、2020年シドニー・ビエンナーレ、2019年ヴェネチア・ビエンナーレ、2014年ベルリン・ビエンナーレ、そして2020年にロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された企画展「Reverb: Sound Into Art(残響:音を芸術に)」など、主要な芸術祭や展覧会で紹介されてきた。

今回の選定について、テート・モダンのキャサリン・ウッド館長代行は声明で次のように述べている。

「タレク・アトゥイは、音の境界を押し広げるアプローチで世界中の観客を魅了してきました。音楽とテクノロジー、彫刻、パフォーマンスを融合させる彼は、真に学際的なアーティストであり、その作品は現在の社会的、歴史的、政治的現実を反映しています。また、アトゥイが続けてきた音と振動の探求において、重要な役割を果たしているのが建築空間です。テート・モダンを象徴するタービンホールという公共空間で、彼が観客とどのように関わるのか楽しみです」

テート・モダンは、2000年にタービンホールでの新作コミッションを開始。2014年からは現代自動車(ヒョンデ)がスポンサーとなり、昨年その契約期間が2036年まで延長されている。近年このプロジェクトを委託された作家は、ミレ・リー(2024年)、エル・アナツイ(2023年)、セシリア・ビクーニャ(2022年)、アニカ・イ(2021年)、カラ・ウォーカー(2019年)など。2025年コミッションのマレット・アンネ・サラの作品は、2026年4月12日まで展示される。(翻訳:石井佳子)

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