88歳デイヴィッド・ホックニー、大規模インスタレーション発表へ。ターナーゆかりの風景を描く

イギリスを代表する現代美術家デイヴィッド・ホックニーが、この春、イギリス・マーゲイトのターナー・コンテンポラリーで幅約10メートルにおよぶ新作を公開する。本作は、開館15周年を迎える同館の節目を飾る注目プロジェクトだ。

デイヴィッド・ホックニー。Photo: Victoria Jones/Getty Images

デイヴィッド・ホックニーは4月1日から11月1日まで、イギリス・ケント州マーゲイトのターナー・コンテンポラリーで新作を展示する。

同館の開館15周年記念事業の一環として制作される本作は、縦約7メートル、幅約10メートルにおよぶ大規模なインスタレーションだ。ホックニーが2020年にiPadで制作した絵画をもとに、ノルマンディの朝焼けを描いたもので、マーゲイトの砂浜と北海を望む同館の展示室、サンリー・ギャラリーの象徴的な大窓を変貌させるという。ターナー・コンテンポラリー館長のクラリー・ウォリスは声明の中で、「夜間にライトアップされることで、この作品は海岸通りにおける光のポイントとなるでしょう」と述べている。

ターナー・コンテンポラリー。Photo: Wikimedia commons
ターナー・コンテンポラリー内サンリー・ギャラリーにある、北海を望む窓。Photo: Wikimedia commons

ターナー・コンテンポラリーは、マーゲイトの景色を愛した19世紀イギリス・ロマン主義を代表する画家、J.M.W.ターナーがたびたび滞在した下宿の跡地に2011年にオープンした。これまでにターナー関連の展覧会をはじめ、ホックニー、アイ・ウェイウェイトレイシー・エミンら国際的に著名な現代アーティストの企画展を開催しており、2023-24年度には32万2000人以上の来館者を記録している。ヨーロッパ各地を旅したターナーは1820年代にフランスを旅行しノルマンディの風景を描いている。また、ホックニー自身もターナーから影響を受けたことを公言しており、2007年にはテート・ブリテンで開催されたターナーの水彩画展を共同キュレーションした。

今回の展示では、ホックニーの近年の代表作《ノルマンディの一年》(2020–21)も紹介される予定だ。本作はバイユーのタペストリーに着想を得た全長約90メートルのフリーズで、作家がかつて構えていたノルマンディのスタジオにおける四季の移ろいを描いている。なお、バイユーのタペストリーは今年9月に大英博物館で展示される予定だが、ホックニーはその移送について「狂気である」と述べ、「美しいだけでなく歴史的にも重要な」作品が損傷する可能性があると警告している。一方で、大英博物館館長のニコラス・カリナンはこの見解に異議を唱えた。

ホックニーの展覧会は高い集客力で知られる。2017年にテート・ブリテンで開催された回顧展には47万8000人以上が来場した。さらに2025年には、パリのフォンダシオン・ルイ・ヴィトン全館を使用した過去最大規模の展覧会が開催され、来場者数は公表されていないものの大きな成功を収めた。今回の新作もまた、国際的な注目を集めることになりそうだ。(翻訳:編集部)

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