YouTube初投稿動画と視聴UIが美術館入り。「Web 2.0やクリエイター経済の象徴」と評価
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)は、YouTubeに世界で初めて投稿された動画を含む動画閲覧インターフェースを収蔵したと発表した。
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)は2月19日、YouTubeに初めて投稿された動画「Me at the zoo」と、2006年当時の視聴ページの再構築版をコレクションに収蔵したと発表した。
YouTubeは、元PayPal社員のチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムによって2005年2月に設立された。そして同年4月23日、最初にアップロードされたのが「Me at the zoo」だ。19秒間のこの動画には、カリムがサンディエゴ動物園で数頭のゾウの前に立つ様子が映っている。それは、日常の出来事や自分の考えをカメラに向かって気軽に語る動画形式「Video Blog(Vlog)」のはしりとも言えるスタイルだった。YouTubeはその翌月に、一般向けベータ版として公開された。
YouTubeは瞬く間に世界的なセンセーションを巻き起こし、2006年11月には16億5000万ドル(約2558億6000万円)でグーグルに買収された。2025年には、金融アナリストが、もしアルファベット(2015年にGoogleの持株会社として改称)がYouTubeを分社化した場合、その価値は5000億ドル(約77兆5000億円)を超えるとの試算を発表している。これはアルファベット全体の企業価値のおよそ30パーセントに相当する。
V&Aが2月19日に公開したブログ投稿によると、今回同館が収蔵したのは次の3点。2006年12月9日時点のウェブサイトのフロントエンドのオリジナルコード、「Me at the zoo」の動画ファイル、そして2006年12月と2007年1月のYouTube広告の複製だ。さらに当時の視聴体験を再現するため、同館のキュレーター、YouTubeのユーザーエクスペリエンス(UX)チーム、インタラクションデザインスタジオのoioが協力し、YouTubeの動画体験を構成するユーザーインターフェースを再構築した。ブログでは、キュレーターがどのようにユーザーインターフェースを再構築したのかについて詳しく紹介しており、インターネットやデジタルオブジェクトの保存がいかに複雑であるかを示している。
V&Aは、これらの資料を取得した理由について、同投稿で次のように説明している。
「文化的・社会的現象として、YouTubeの視聴ページはWeb 2.0およびユーザー生成コンテンツの台頭を象徴するものであるだけでなく、後にクリエイター・エコノミーやプラットフォーム資本主義へと発展する兆しを先取りしたことを示しています。それは、初期のデザイン上の意思決定が、現代生活を規定するより広範な経済的・文化的システムの中核となっていく過程を明らかにしています」
V&Aはこれまでもデジタル資料の収集を進めてきた。2017年には中国で人気のメッセージングおよびソーシャルメディア・プラットフォームであるWeChatを、2019年にはリプロダクティブ・ヘルスのアプリ「Euki」を取得している。
YouTubeの再構築版は現在、サウス・ケンジントンのV&A本館にある「Design 1900-Now」ギャラリーおよびV&Aイースト・ストアハウスで展示されている。(翻訳:編集部)
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