モネの借用書がオークションへ──マネ実弟に「絵画35点の売却益で返済」と約束
クロード・モネが1875年に記した借用書が、3月25日にオークションに出品される。エドゥアール・マネの弟ギュスターヴからの借入を記録した書簡で、初期印象派の画家たちが直面していた経済的困難を示す資料とみられている。
印象派の巨匠、クロード・モネ(1840〜1926年)が手がけた絵画は、現代においても高額取引されている。2019年にはサザビーズ・ニューヨークで《積みわら》(1890)が1億1070万ドル(当時の為替で約122億円)で落札され、印象派絵画のオークション記録を塗り替えた。時間帯によって表情を変える輝く積みわらから、大作《睡蓮》シリーズ、幻想的なヴェネチアの風景まで、モネの作品は世界中のコレクターを魅了し続けている。
しかし、画家として歩み始めたばかりの頃のモネは、ほかの印象派の画家たちと同じく、生計を立てるのに苦しんでいた。その苦境を物語る資料が、3月25日にオークションに出品される。出品されるのは、モネが借金をしていた事実を示す書簡で、差出人はエドゥアール・マネの弟ギュスターヴ・マネ。1875年10月18日付のその文面には、次のように記されている。
「私、クロード・モネは、ギュスターヴ・マネより貸付金として1000フランを受け取ったことを認めます。この金額は、来年2月に競売人シャルル・ウダールが執り行う、私の絵画35点の売却益から返済されるものとします」
書簡の中でモネは、すでに8点をウダールに引き渡し、残る作品も完成しだい渡す予定だと記している。その中には「現在制作している等身大の日本女性を描いた作品」も含まれていた。これはのちに、妻カミーユを着物姿で描いた《ラ・ジャポネーズ》(1876)になったとみられる。現在はボストン美術館が所蔵しており、評価額は1億ドル(約160億円)ともされる。今回のオークションを主催するInternational Autograph Auctions EuropeのCEO、フランシスコ・ピニェロは、Artnet Newsに次のように語っている。
「初期印象派の画家たちが置かれていた経済的苦境が、モネの借用書から明らかになっています。単なる数字の羅列ではなく、印象派運動の不安定な黎明期においてモネが抱いていた決意がこの文書から伝わってきます」
(翻訳:編集部)
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