毛沢東を風刺した彫刻で「非公開裁判」──中国人アーティストに最長3年の禁固刑の可能性

中国人アーティストのガオ・ジェンが、毛沢東を風刺した作品をめぐり「英雄烈士」侮辱の罪に問われ、非公開裁判にかけられた。有罪となれば最長3年の禁固刑が科される可能性がある。

天安門広場(2026年3月9日に撮影)。Photo: Stringer/Anadolu via Getty Images

中国の英雄と殉職者を侮辱した」容疑で2024年8月に逮捕されたアーティストデュオ、ガオ兄弟(高氏兄弟)のガオ・ジェンが、3月30日、中国で非公開裁判にかけられた。有罪となれば、最長3年の禁固刑が科される可能性がある。

裁判は北京近郊の河北省で1日かけて行われたが、判決はまだ出ていない。中国では非公開裁判は主に国家安全に関わる案件で採られる措置とされており、芸術作品をめぐる事案で適用されるのは珍しいという。米国務省によれば、傍聴を試みた外交官は入廷を拒否され、欧州連合(EU)の外交官も同様に入廷できなかったという。なお、ガオはすでに1年半以上拘束された状態が続いている。

ガオに適用された「英雄烈士保護法」は2018年に制定され、歴史上の人物の名誉を損なう言動や公式見解への疑義を違法とする。2021年の改正で刑事罰(最長3年)が導入され、政府は「言及すべきでない話題」のリストも公表した。その一つには毛沢東が行った行軍「長征」の距離が公称より短かったのではないかという疑問や、朝鮮戦争で毛沢東の息子が死亡した原因をめぐるエピソードなどが含まれる。この法律はこれまでにもコメディアンや一般市民の発言に適用されてきた。今回問題とされたのは、毛沢東を風刺的に描いた彫刻作品などで、体の特徴を誇張した像や宗教的モチーフと組み合わせた作品が含まれている。

ガオは2022年にアメリカへ移住した後、中国を訪れた際の2024年8月下旬、北京郊外のアトリエで当局に拘束され、複数の作品を押収された。兄のガオ・チアンによれば、問題とされた作品はいずれも10年以上前に制作されたもので、新法を過去の行為に適用することは「不遡及の原則」に反すると指摘している。一方で当局は、これらの作品の画像が近年インターネット上で再び公開されたことなどを問題視している可能性もある。

妻のジャオ・ヤーリャンによれば、ガオは拘留中に食事を制限され、読書や家族からの手紙の受け取りも禁じられている。腰椎疾患や慢性蕁麻疹などの持病があるものの、十分な治療は受けられていないという。それでもガオは獄中で紙をちぎり、家族の肖像を作り続けている。ジャオと7歳の息子には出国禁止令が出され、面会も許されておらず、こうした状況について彼女は、「息子はおととしから父親に会えていません。手紙のやり取りも昨年5月から禁止されました」と語った。

人権団体「中国人権擁護」の研究者シェーン・イーは、非公開裁判で過去の行為に法律を適用する点について「適正手続きの重大な違反」と批判する。また、一部の活動家は、海外に移住した人々への萎縮効果を狙った見せしめの可能性も指摘している。ガオ自身も2024年のニューヨークでの授賞式で、中国の政治体制について次のように語っていた。「私たちはより大きな開放を望んでいたが、政治体制は真に開かれていない。文化大革命以降、10年ごとに後退している」

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