欧州委、ロシア館問題でヴェネチア・ビエンナーレに是正要求──3億7000万円助成停止の可能性

5月9日に開幕する第61回ヴェネチア・ビエンナーレを前に、ロシア館の参加をめぐる問題が新たな局面を迎えている。欧州委員会はビエンナーレに是正を求め、応じない場合には約200ユーロ(約3億7000万円)の助成金を停止する可能性を示した。

2022年のヴェネチア・ビエンナーレで撮影された、閉鎖されたロシア館。Photo James Arthur Gekiere/BELGA MAG/AFP via Getty Images

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、2026年のヴェネチア・ビエンナーレにおけるロシア館の扱いをめぐり、同組織に対して30日以内に「疑義を晴らす」よう求めた。書簡の内容を確認したイタリア紙『ラ・レプッブリカ』の記事によると、対応次第では、2028年開催に向けた約200万ユーロ(約3億7000万円)の助成金が停止、あるいは打ち切られる可能性がある。

書簡は、ビエンナーレが対ロシア制裁に違反したとの疑義を踏まえ、「これらの疑惑に対する説明」および「是正措置の内容」を報告するよう求めている。欧州委員会は、ロシアの参加を撤回すれば助成金の支給を進める意向を示している。

「我々の見解では、ロシアによるウクライナ侵攻という状況下で、ロシア政府の全面的な資金提供と関与のもとに組織された『政府代表団』としてロシア人アーティストの参加を国家パビリオンを通じて受け入れたことは、文化的プラットフォームを提供する見返りに、ロシア政府からの間接的な支援を受け入れていると受け取られかねない」と書簡は述べている。

書簡は、欧州委員会の教育・文化執行機関からビエンナーレのピエトランジェロ・ブッタフォーコ会長宛てに4月10日付で送付され、回答期限は5月11日と設定された。これは5月9日のビエンナーレ開幕日から2日後にあたる。

また、同紙の別の記事によると、欧州委員会は3月26日付の別の書簡でイタリア外務省にも直接見解を求めている。ロシア館が「ロシア政府のメッセージを発信する場となり得る」ほか、「EU制裁の回避につながる可能性」もあるとして、ロシアの参加をめぐる同省の立場を明らかにするよう要請している。外務省には1週間以内の回答が求められていたが、現時点では提出されておらず、同省は現在も対応を検討中だと報じられている。

さらに同紙は、外務省は文化省と連携し、ビエンナーレから提出された関連資料をもとに回答を準備していると報じている。この問題は4月21日に予定されているEU外務理事会でも議題に含まれており、イタリア側が見解を示す見通しのため、期限前に回答が公表される可能性もある。

今週には、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領がローマの首相官邸キージ宮でイタリアのジョルジャ・メローニ首相と会談する予定であり、この問題が議題に上がるとみられている。ゼレンスキー政権は先週、2026年ロシア館に関与するロシアの文化関係者5人に対する制裁を発表しており、その中にはコミッショナーのアナスタシア・カルネーエワも含まれている。

一方、メローニ首相はロシア参加の是非について明確な立場を示しておらず、ビエンナーレの意思決定には政府は関与しないとの立場を示し、その自律性を強調している。なお、5月9日の開幕式に首相が出席するかどうかは現時点では不明だ。副首相のマッテオ・サルヴィーニは、欧州委員会による資金停止の可能性について、「欧州官僚機構による下品な脅迫だ」と強く批判し、「まさに狂気の沙汰だ」と述べたと、ユーロニュースは伝えている。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい