ロエベ財団クラフトプライズ2026大賞は、韓国のパク・ジョンジン。紙と磁器による革新的表現を評価
ロエベ財団は「ロエベ財団クラフトプライズ 2026」の受賞者を発表した。大賞には、韓国のアーティスト、パク・ジョンジンによる《Strata of Illusion》(2025)が選出。磁器の素材と紙を用いた革新的な作品が、クラフトの既成概念を覆す表現として高く評価された。

ロエベ財団は、クラフトプライズ 2026の大賞および特別賞の受賞者を発表した。グランプリに輝いたのは、韓国のアーティスト、パク・ジョンジンによる《Strata of Illusion》(2025)だ。
各受賞者は、建築家のフリーダ・エスコベド、メトロポリタン美術館近代建築・デザイン・装飾芸術部門キュレーターのエイブラハム・トーマス、ルーブル美術館装飾芸術部門長のオリヴィエ・ガベらデザイン、建築、批評、ミュージアム・キュレーションなど各分野の第一線で活躍する審査員によって、30人のファイナリストの中から選出された。

porcelain, paper, stain and glaze, 750 × 450 × 560 mm
大賞を受賞したパク・ジョンジンは1982年韓国生まれ。ソウルの国民大学校で陶芸の修士号を取得し、現在は韓国・九里市を拠点に活動している。受賞作《Strata of Illusion》は、磁器の泥漿(でいしょう)でコーティングした紙を何千枚も積層し、窯で焼成することで生み出された作品だ。焼成の過程で紙は燃え尽き、構造体は熱と重力によって沈み込み、歪みながら最終的な形態へと変容する。
審査員が高く評価したのは、セラミクスに対する既成概念を覆すその革新性だった。作品は磁器を基盤としながらも、ガラス工芸や製本など複数のクラフトの伝統とも共鳴しており、素材を単一的に解釈することを拒む。「焼成によって紙が消失していく詩情と、沈み込んだフォルムが宿す誠実な不完全さ」に審査員たちは魅了されたという。

natural and black dyed elephant grass, 10 × 3700 × 3600 mm
特別賞には、ガーナの職人集団ババ・ツリー・マスター・ウィーバーズ(メアリー・アナバ、チャリティー・アベアマ・アトゥア、クリスティアナ・アナバ・アコルポカ、アサキロロ・アドゥコ、メアリー・アインボグラ、テニ・アイネ、スボロ・アイネ、プンカ・ジョー)と、スペインのアーティスト、アルバロ・カタラン・デ・オコンによる共同制作《Frafra Tapestry》が選ばれた。
同作は、ガーナ・グルンシ地域の伝統的な村落を航空写真で捉えた映像をもとに制作された。建築的な図案はアルバロ・カタラン・デ・オコンを中心にマドリードで設計され、テキスタイル部分はガーナでババ・ツリー・マスター・ウィーバーズのメンバーによって制作された。天然および染色したエレファントグラスを用い、伝統的なバスケタリー(籠編み)技法によって編み上げられている。

gold and niello, various dimensions
また、1954年イタリア生まれのグラツィアーノ・ヴィジンティンによる《Collier》も特別賞を受賞した。同作は、薄い金板を組み合わせて作られた小さな立方体を連ねた2点組のネックレスで、古代金属加工技法「ニエロ」が施されている。審査員は、とりわけニエロの独創的かつ巧みな使用法を高く評価した。金の表面に絵画的な手法でニエロを施すことで、無数のミニアチュール(細密画)が連なるような繊細な効果を生み出しているという。
大賞受賞者には5万ユーロ(約900万円)、特別賞受賞者にはそれぞれ5000ユーロ(約90万円)が贈られる。
「ロエベ財団クラフトプライズ 2026」のファイナリストは20の国と地域から選出され、セラミクス、木工、テキスタイル、家具、製本、ガラス、金属、ジュエリー、漆工など、多岐にわたる素材と技法を扱う30人が名を連ねた。全作品は、シンガポールのナショナル・ギャラリー・シンガポールで2026年5月13日から6月14日まで展示されている。





