2026年グッゲンハイム・フェロー223人が発表──東京拠点の写真家ピクシー・リャオも選出

世界で最も権威のある賞のひとつである、グッゲンハイム・フェローシップの2026年受賞者223人が発表された。今年は芸術分野からファイバーアーティストのソニア・クラーク、東京在住の写真家ピクシー・リャオらが選ばれた。

ロサンゼルスのREDCATで開催されたアメリカン・アーティストの展覧会「Shaper of God」の様子。Photo: Brica Wilcox. Courtesy REDCAT, Los Angeles.

グッゲンハイム財団は、2026年度フェローシップの受賞者223人を発表した

1925年の創設以来、今回で101期目となるフェローには、約5000件の応募から選ばれた人材が名を連ねる。受賞者の年齢は28歳から76歳までと幅広く、居住地もアメリカの33州とコロンビア特別区、カナダの3州、さらに北米以外の8カ国に及ぶ。分野も多岐にわたり、画家、映画作家、写真家、振付家、小説家、詩人、建築家、科学者、エンジニア、歴史家、数学者など、計55に及んでいる。創造芸術部門では、美術30人、写真19人、映画・ビデオ19人、小説10人、演劇・パフォーマンス6人などが選出された。なお、同フェローは昨年に比べて応募者は1500人、受賞者は25人の増加となった。

今年の美術部門の受賞者には、彫刻家のジョン・エイハーン(John Ahearn)、2025年にパイオニア・ワークスで個展を開催したニュー・メディア/インスタレーション作家のアメリカン・アーティスト(American Artist)、ファイバーアーティストのソニア・クラーク(Sonya Clark)のほか、今年4月からMoMA PS1で開催予定の「Greater New York 2026」展に出展するケネス・タム(Kenneth Tam)、過去にニューヨーク州のバッファローAKG美術館やフロリダ州のカマー美術館で展覧会を開催した日独系アーティストのコウタ・エザワ(Kota Ezawa)、複数分野を横断するマルチディシプリナリー・アーティストのジョン・ミラー(John Miller)などが名を連ねる。ほかにも、フアナ・バルデス(Juana Valdes)、フィア・バックストロム(Fia Backström)、アリソン・ジャナエ・ハミルトン(Allison Janae Hamilton)、フランシス・ルイター(Francis Ruyter)らが含まれている。

1951年生まれのジョン・エイハーンは、ニューヨーク・ブロンクスを拠点に活動している。地元住民をモデルに、顔や上半身に石膏を直接かぶせて型を取る手法で立体作品を制作し、コミュニティの中にいる人々の存在を浮かび上がらせてきた。アメリカン・アーティストは、絵画、映像、インスタレーション、パフォーマンスなど多様なメディアを横断しながら、監視社会やAIといったテクノロジーが人間に及ぼす影響を探っている。また、1967年生まれのソニア・クラークは、人の髪の毛を編み込んだ作品や織物・テキスタイルによるインスタレーションを通して、歴史やアイデンティティ、とりわけ黒人文化の記憶を掘り下げてきた。彼女の個展「We Are Each Other」はアトランタのハイ美術館やデトロイトのクランブルック美術館を巡回している。

写真部門では、中国・上海出身で現在東京を拠点に活動するピクシー・リャオ(Pixy Liao)が選出された。親密な関係性やジェンダーの力関係をあえて反転させる写真シリーズで知られ、恋愛における権力構造やジェンダー規範を問い直している。

映像部門では、2014年のホイットニー・ビエンナーレに出品し、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションにも収蔵されているスティーヴ・ラインケ(Steve Reinke)、2017年のホイットニー・ビエンナーレに参加し、エル・ムセオ・デル・バリオやペレス美術館マイアミでも展示歴を持つベアトリス・サンティアゴ・ムニョス(Beatriz Santiago Muñoz)、昨年テート・モダンで作品が上映されたクリストファー・ハリス(Christopher Harris)らが選ばれた。また、小説部門では、作家でアート・イン・アメリカ寄稿者のルーシー・アイヴス(Lucy Ives)が受賞している。

各フェローシップには助成金が付与されるが、その金額は個別に異なるため公表されていない。一般的には3万ドルから4万5000ドル(約480万〜715万円)程度とされる

今回のフェローについて、グッゲンハイム財団の会長で詩人のエドワード・ハーシュは声明で次のように述べた。

「今回の受賞者は、芸術、科学、学術の分野における世界最高水準の思考者、革新者、創造者を体現しています。財団が2世紀目に入り未来へと目を向けるなか、この223人が直面する課題にひるむことなく、大胆で刺激的な仕事を成し遂げると確信しています。彼らの先見的な取り組みを支援できることを誇りに思います」

受賞者一覧はこちら。(翻訳:編集部)

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