イラン政府、ビエンナーレ「不参加」発表に異議。夏のパビリオン実現に向け「準備中」

第61回ヴェネチア・ビエンナーレは、イラン館不在のまま開幕した。しかし5月12日、イラン文化・イスラム指導省の造形芸術局長が、依然として参加に向けた協議を続けていることを明らかにし、ビエンナーレ側の「不参加」発表との食い違いを指摘している。

2026年5月11日、ヴェネチア・ビエンナーレの中央パビリオン。Photo: Giuseppe Cottini/Getty Images

5月4日、ヴェネチア・ビエンナーレは声明で、「ビエンナーレにイラン・イスラム共和国は参加しない」と発表した。しかし現在、それが誤りだった可能性が浮上している。

イラン政府はビエンナーレ不参加発表に当惑

イラン文化・イスラム指導省造形芸術局長のアイディン・マーディザーデー・テヘラニは5月12日、イラン学生通信(ISNA)の取材に対し、イランは依然としてビエンナーレ参加を目指していると語った。そして次のように説明した。

「イランはヴェネチア・ビエンナーレへの参加を撤回したことは一度もありません。むしろ当初から参加に合意しており、現在も協議を続けています。ビエンナーレ側には展覧会プランを提出済みで、おそらく数日以内に回答が得られるでしょう」

ISNAのインタビューでテヘラニは、ビエンナーレ主催者による「不参加」発表に困惑していることも明かした。イラン側は主催者に対し、撤退を通知する書簡を送ったことも、不参加の意思を表明したこともないという。

またテヘラニは、イランに対する国際制裁に加え、ヴェネチアに恒久的な自国パビリオンを持たないことによる高額な会場費、さらにイスラエルおよびアメリカとの軍事的緊張など、複数の問題についてビエンナーレ側と協議を続けていると説明した。これらの課題は依然として調整中ではあるものの、省としてはパビリオン実現に向けた準備を継続しているという。

夏に向けてイラン館開設を計画中

さらに彼は、5月10日付でビエンナーレ宛てに書簡を送り、たとえ最高賞の審査対象から外れることになったとしても、イラン館の開設を「強く求める」と伝えたことを明らかにした。テヘラニによれば、イラン側は依然として、「新技術と新たなアプローチに基づく、全く新しいプロジェクト」を発表する意向を持っているという。「ビエンナーレ側の最終的な回答を待っているところですが、私たちの計画では、この夏、確実にヴェネチアにいるということです」と彼は話した。

テヘラニはまた、この展覧会がヴェネチアでの会期終了後、ヨーロッパ各都市を巡回する可能性についても示唆した。イラン館の具体的な形式については慎重な姿勢を崩さなかったものの、インタビュー全体からは、彼がイラン国内における芸術の役割をどのように捉えているのか、またイラン政府が今回のビエンナーレ参加をどのように位置づけているのかがうかがえる。

別の「イラン館」展示がヴェネチアで展開

一方、イラン館代表を名乗る別のグループは先週、「ハイパースティショナル・パビリオン・オブ・イラン(Hyperstitional Pavilion of Iran)」として独自の展覧会を開始した。タイトルは「Hulul: On Incarnation and Incantation(フルール:受肉と呪文について)」。リスク下に置かれたイラン人アーティストやキュレーターを代表する試みだとしている。

ファシリテーターを務めるのは、フィンランドを拠点とするNPO「Perpetuum Mobile」。キュレーションはプーヤ・ジャファリとナズリ・ジャン・パルヴァルが担当し、リアル・イラン(Real Iran)、ダスト・ダスタン(Dast Dastan)、ゼンダン・エ・エスカンダル(Zendan-e Eskandar)、モグ・クー(Mogh Kouh)、ドルナ(Dorna)といったイラン人アーティスト/コレクティブの作品を紹介している。プレスリリースによれば、会場はジャルディーニ地区とされ、展覧会については次のように説明している。

「Hululは、『国家を代表する展示』ではなく、『変化し続ける存在のあり方』を提案しています。この展覧会は、一つにまとまったイメージや単一の物語を提示するものではありません。むしろ、歴史的なイラン、想像上のイラン、世界中に離散したイランなど、さまざまなイラン像が共存し、交差する空間を生み出そうとしています。そこから立ち現れるのは、境界が開かれた流動的な状態です。つまりこれは、ヴェネチアに固定された建築としてのパビリオンではなく、都市の中に響き渡る存在であり、『古代から続き、なお生成し続ける文明』の声を運ぶパビリオンなのです」

ただし、「Hulul」は現時点でビエンナーレ公式サイトには掲載されておらず、イラン政府と正式にどのような関係にあるのかも明らかになっていない。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい