人気風刺アカウント「ジェリー・ゴゴシアン」運営者、ヒルデ・リン・ヘルフェンスタインが遺体で発見

アーティスト、キュレーターとして活動し、アート界を風刺するSNSアカウント「ジェリー・ゴゴシアン」で注目されたヒルデ・リン・ヘルフェンスタインが、ブラジル・サンパウロのホテルで遺体で発見された。現地当局は不審死として調べを進めている。

「ジェリー・ゴゴシアン」ことヒルデ・リン・ヘルフェンスタイン。Photo: Dave Benett/Getty Images
「ジェリー・ゴゴシアン」ことヒルデ・リン・ヘルフェンスタイン。Photo: Dave Benett/Getty Images

ブラジルのテレビ局グローボの報道によると、「ジェリー・ゴゴシアン(Jerry Gogosian)」として広く知られるアート・コメンテーターでアーティストのヒルデ・リン・ヘルフェンスタイン(Hilde Lynn Helphenstein)が、5月31日にサンパウロのホテルで遺体で発見された。そばには空のウォッカのボトル、割れたグラス、錠剤があったといい、警察はこの死を不審死として捜査しており、鑑定が行われる見通しだ。

発見者である彼女の担当美容外科医と名乗る男性は、ヘルフェンスタインと連絡が取れなくなったため部屋に向かったという。ヘルフェンスタインは手術を受けるため、3週間前からブラジルのホテルに滞在していた。グローボが引用したホテルの声明には、次のように記されている。

「宿泊客のヒルデ・アン・リンが5月31日、日曜日の午後にローズウッド・サンパウロで遺体で発見されました。事件の発生を受けてから当ホテルは管轄当局に全面協力し、事実関係の調査が滞りなく進むよう、要請された情報を迅速に提供しております。お客様やご家族のプライバシー、および当局の業務を尊重し、現時点ではこれ以上の詳細に関するコメントは差し控えさせていただきます」

またグローボは、前日5月30日にヘルフェンスタインと友人たちが泥酔して肌を露出するなどの迷惑行為があったとして、ホテルに苦情が寄せられていたと報じている。

ヘルフェンスタインは長年にわたり、アート界を風刺する人気インフルエンサー「ジェリー・ゴゴシアン(Jerry Gogosian)」として活動してきた。アカウント名は、著名な美術批評家ジェリー・サルツと、アート界きっての大物ディーラー、ラリー・ガゴシアンの名前をもじったもの。現時点でフォロワー数は15万人近くにのぼり、アート市場やギャラリー関係者、コレクターを風刺する投稿で人気を博してきた。

ヘルフェンスタインは2024年2月、ユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)のファインアート部門と契約を結んだ。UTAへの所属が発表された際、同部門のシニア・ディレクター、ハリソン・テンザーは次のような声明を出していた。

「ヒルデ・リン・ヘルフェンスタインをUTAファインアートの一員に迎えることができ、とても嬉しく思います。彼女はアート界の傑出した存在であり、魅力的なSNS投稿を通じて活気に満ちたコミュニティを育んできました。他のアーティストを支援しようとする姿勢は彼女の活動の随所に表れており、敷居が高いと思われがちなアートの世界を、より開かれたものにしようとするひたむきな貢献も広く知られています」

ただし、UTAは同年9月にファインアート部門の閉鎖を発表。同社がその後もヘルフェンスタインとのクライアント契約を継続していたかは明らかになっていない。ヘルフェンスタインは、2025年6月のインスタグラム投稿で「今の私にはしっくりこない」と述べ、ジェリー・ゴゴシアンとしての活動を段階的に縮小していく計画を発表している

2016年にロサンゼルスで自身のアートギャラリーを開設したヘルフェンスタインは、その後、病に倒れて約1年間の寝たきり生活を経験。2018年にインスタグラムアカウントを開設した。当初は匿名で運営していたが、2020年に正体を明かしている。以降はポッドキャスト番組「Art Smack」のMCを務め、ニュースレター「Jerry Report」も不定期に更新していた。また、サザビーズやルイナールといった企業との案件も手がけている。

ヘルフェンスタインがジェリー・ゴゴシアンとしての活動縮小を発表した際、US版ARTnewsはこう記している。

「ジェリー・ゴゴシアンのコンテンツの大半は、市場関係者やコレクターたちを揶揄する低俗なミームだが、アート界に影響を及ぼしたものもある。例えば2020年、ヘルフェンスタインがガゴシアンのディレクターだったサム・オルロフスキーに対するセクハラ告発を呼びかけた結果、ギャラリーは彼を解雇することになった

記事はさらにこう続く。

「ヘルフェンスタインはこのアカウントを通じて有名になり、2022年にはサザビーズのオークション企画に関わるまでになった。しかし、投稿されたコンテンツが自身の首を絞めることにもなった。2024年、彼女がサザビーズのオークショニアの名前をからかったことで、本人から外国人嫌悪だと非難された。その後、彼女はその冗談が『悪趣味』だったと認め、謝罪している」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

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