パスタ工場の下から2500年前の墓地が出現──豪華な副葬品が物語る地中海交易網の広がり

イタリア・ナポリ近郊のグラニャーノにあるパスタ工場の敷地内で、約2500年前にさかのぼる墓地が見つかった。保存状態の良いこの遺跡からは、希少な有機遺物やぜいたくな副葬品の数々、さらには人骨が出土している。

イタリア南部、グラニャーノのヴィア・デイ・パスタイで発見された墓地。Photo: Soprintendenza ABAP Napol

イタリアのナポリ都市圏考古学・美術・景観局が7月15日に開いた記者会見で、パスタ生産施設の拡張工事に先立つ事前調査を行っていた考古学研究者が、約2500年前の墓地遺跡を発見したことが明らかにされた。発掘を監督する同局によると、保存状態は非常に良好だという。

墓地が見つかったのは、ナポリ近郊のグラニャーノにある老舗パスタメーカー、ガロファロ社の工場で、古代ギリシャによる植民活動が活発化した紀元前8世紀~紀元前6世紀のアルカイック期にさかのぼるものとされる。当時、周辺のカンパーニャ地方は、先住民族のエトルリア人やギリシャ人などの文化が入り混じる国際色豊かな地域だった。85基の墓からなるこの埋葬地──少なくともその一部──は、紀元前6世紀の裕福な支配階級のものだったと考えられている。

墓から出土した遺物には、装飾が施された土器、装身具、武器に加え、ナイルデルタにあったギリシャの交易拠点ナウクラティスからもたらされたと見られる古代エジプトのスカラベ(フンコロガシを模した装飾品)や精巧な銀製品、エトルリアの青銅器などの交易品が含まれている。また、凝灰岩でできた石棺からは複数体の人骨も確認されているほか、密閉された墓の内部には、通常は腐敗によって失われてしまう布や木製品、編みかごといった有機遺物が残されていた。

今回の発見は、カンパーニャとエトルリア、ギリシャ、エジプトそして東地中海地域を結ぶ交易網に光を当てるだけでなく、古代ローマ以前のカンパーニャ地域における埋葬習慣や日常生活を知る重要な手がかりとなるものだ。イタリア文化省で文化遺産保護局長を務めるルイジ・ラ・ロッカはその意義について次のように述べている。

「グラニャーノのヴィア・デイ・パスタイにおける墓地遺跡の発見は、官民の連携による成果と言えます。この発掘調査の結果は、出土した遺物の質や、有機物までが良好な保存状態で残っているという点で特筆すべきものです。さらには、アルカイック期にソレント半島とサルノ渓谷の間にできた集落の発展について、新たな知見をもたらすものでもあります」

発掘現場での記録は完了しており、今後遺跡は再び埋め戻される予定だが、考古学者、生物考古学者、年代測定の専門家で構成されるチームは遺物の分析を継続して行う。特に注目されるのは人骨で、そこから当時の同地域の住民の食生活や生活状況に関する情報が得られると期待されている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

あわせて読みたい