幸運を呼ぶ雄牛の「睾丸が消えた」と物議──ミラノ名所の修復後に批判相次ぐ
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
ミラノにある世界最古級のショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」の観光名所「雄牛のモザイク」の修復が完了した。しかし、その仕上がりに対してSNS上で「睾丸が消えた」などの批判が相次いでいる。

ミラノを代表するアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」内にある有名な観光名所「雄牛のモザイク」が修復され、6月1日に一般公開された。しかし、その仕上がりを巡って批判が相次いでいると英紙ガーディアンが報じている。
「雄牛のモザイク」は19世紀に制作された。雄牛の睾丸部分にはピンク色のタイルがはめ込まれており、その部分に右かかとを当てて3回転すると幸運に恵まれ、再びミラノを訪れることができるという言い伝えで知られている。毎日数千人の観光客が幸運を求めて訪れるため、睾丸部分は摩耗によって陥没してしまう。そうしたことからミラノ市は数十年ごとにモザイクの修復を行ってきた。
今回の修復は5月27日から30日にかけて実施された。修復士のジャンルカ・ガッリは、損傷部分を約2.5センチ掘り下げ、手作業で切り出した石片を使って補修したという。
修復後のモザイクの写真をミラノ市評議員のマルコ・グラネッリがFacebookに投稿し、工事完了を祝うコメントを添えたところ、投稿には仕上がりに疑問を呈するコメントが殺到した。
Italians bemused by Milan bull mosaic restoration https://t.co/M9zIYyjUbM pic.twitter.com/PLFKwmlz5Y
— World News (@Worldnews_Media) June 1, 2026
最も注目を集めたのは、修復後の雄牛から睾丸がなくなっているように見えたことだ。一部では、観光客が儀式を行えないよう意図的に「去勢」したのではないかとの憶測まで飛び交った。
また、「タイルの色や大きさが不揃いで、目地の仕上げも雑だ」と指摘する声や、約3万ユーロ(約560万円)とされる修復費用を無駄遣いだと批判する声も上がっている。
世界最古級のショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」は、同名のイタリア王国初代国王にちなんで1865年から1877年にかけて建設された。最近では映画『プラダを着た悪魔2』のロケ地としても使用されたほか、「雄牛のモザイク」が修復される数カ月前には、俳優ジョージ・クルーニーと妻アマルもこの場所を訪れ、儀式を行ったと伝えられている。グラネッリは先週、AFP通信の取材に対し、このアーケードについて「愛され、人々が集うからこそ傷みやすい、生きた遺産だ」と語っている。
イタリアには、観光客による「儀式」が原因で修復を余儀なくされている名所がほかにもある。ヴェローナにある、ネレオ・コスタンティーニが1969年に制作したシェークスピア『ロミオとジュリエット』のヒロイン、ジュリエットの青銅像もその一例だ。観光客が恋愛成就を願って右胸を触り続けた結果、像が変形し、これまで何度も修復が行われてきた。

2. シモーネ・マルティーニ《受胎告知》(1333年)Photo: Uffizi Gallery
上部に華麗な彫刻が施され、金箔とテンペラで描かれたこの大作は、ルネサンスへの移行期における傑作の1つ。【作品の詳細はこちら】

3. パオロ・ウッチェッロ《サン・ロマーノの戦い:ニッコロ・マウルジ・ダ・トレンティーノは、ベルナルディーノ・デラ・カルダを倒した》(1435-40年頃)Photo: Uffizi Gallery
1432年のサン・ロマーノ(ピサ)の戦いを描いた3連作の板絵の1枚。【作品の詳細はこちら】

4. ピエロ・デッラ・フランチェスカ《ウルビーノ公夫妻の肖像》(1473-75年)Photo: Uffizi Gallery
ルネサンス期の最も有名な肖像画の1つであり、傭兵隊長として活躍したフェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ公爵と、出産後に26歳で命を落としたその妻バッティスタ・スフォルツァを描いた作品。【作品の詳細はこちら】

5. ピエロ・デル・ポッライオーロ、サンドロ・ボッティチェリ《7つの美徳》(1469-72年)Photo: Uffizi Gallery
仮想の最高裁判所のようにも見える威風堂々たるこの連作絵画には、7つの美徳を擬人化した女性像が描かれている。【作品の詳細はこちら】

6. サンドロ・ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》(1485年)Photo: Uffizi Gallery
さまざまな雑貨に、この作品が印刷されているのを見たことがある人は多いに違いない。彼女はリーボックのスニーカーの売り上げに貢献し、著名アーティストのインスピレーションの源泉になってきた。【作品の詳細はこちら】

7. イノシシ(紀元前2-1世紀)Photo: Uffizi Gallery
このリアルなイノシシは、無名のローマ人彫刻家による大理石の彫刻で、ヘレニズム時代のブロンズ像を参考にしたものと考えられている。【作品の詳細はこちら】

9. ピエロ・ディ・コジモ《アンドロメダを救うペルセウス》(1510-15年)Photo: Uffizi Gallery
翼のあるサンダルを履いたペルセウスが空を飛び、尻尾の先がくるくる巻いた巨大な海の怪獣がアンドロメダを襲おうとする場面を描いている。【作品の詳細はこちら】

10. レオナルド・ダ・ヴィンチ《東方三博士の礼拝》(1482年)Photo: Uffizi Gallery
1481年にダ・ヴィンチは、フィレンツェ近郊のサン・ドナート教会に飾るための絵を、アウグスチノ会の修道士たちから依頼された。【作品の詳細はこちら】

13. ヘルマプロディートス(紀元2世紀)Photo: Uffizi Gallery
元前2世紀の古代ギリシャのブロンズ像をもとにしてローマ時代に作られたこの作品は、ギリシャのパロス島で採掘された大理石から彫られている。【作品の詳細はこちら】

14. エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン《自画像》(1790年)Photo: Uffizi Gallery
画家ルイ・ヴィジェの娘で、有名な画商ジャン=バティスト=ピエール・ルブランの妻だったエリザベートは、肖像画で成功を収めた作家だ。【作品の詳細はこちら】

15. パルミジャニーノ《長い首の聖母》(1534-40年)Photo: Uffizi Gallery
聖母の長い首と指、そして乳首とへそが見える薄布の衣服が描かれたこの絵には、典型的な聖母子像にはない官能性がある。【作品の詳細はこちら】

16. ポントルモ《エマオの晩餐》(1525年)Photo: Uffizi Gallery
ポントルモの《エマオの晩餐》は、復活したイエスが旅人に扮し、2人の弟子とともに食卓にいる様子を描いている。【作品の詳細はこちら】

17. ロッソ・フィオレンティーノ《エテロの娘たちを守るモーセ》(1523-27年)Photo: Uffizi Gallery
筋骨隆々の男たちが、カンバスから飛び出そうな勢いで前面に押し出されている混乱したシーンは、聖書の物語の一場面で、そこに登場するモーセが活劇のヒーローのように描かれている。【作品の詳細はこちら】

21. アルテミジア・ジェンティレスキ《ホロフェルネスの首を斬るユディト》(1620年頃)Photo: Uffizi Gallery
この有名な物語は多くの画家が題材として取り上げているが、その中でも最も真に迫ったものの1つがこの作品だ。【作品の詳細はこちら】

22. ユストゥス・スステルマンス《Madonna “Domenica delle Cascine,” la Cecca di Pratolino, e Pietro Moro》(1634年)Photo: Uffizi Gallery
人物同士がやり取りをしている瞬間をカメラで捉えたかのように描写されている。【作品の詳細はこちら】






