幸運を呼ぶ雄牛の「睾丸が消えた」と物議──ミラノ名所の修復後に批判相次ぐ

ミラノにある世界最古級のショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」の観光名所「雄牛のモザイク」の修復が完了した。しかし、その仕上がりに対してSNS上で「睾丸が消えた」などの批判が相次いでいる。

2026年5月28日、ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世にある「雄牛のモザイク」修復の様子。Photo: Sheila Gallerani/Archivio Sheila Gallerani/Mondadori Portfolio via Getty Images

ミラノを代表するアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」内にある有名な観光名所「雄牛のモザイク」が修復され、6月1日に一般公開された。しかし、その仕上がりを巡って批判が相次いでいると英紙ガーディアンが報じている。

「雄牛のモザイク」は19世紀に制作された。雄牛の睾丸部分にはピンク色のタイルがはめ込まれており、その部分に右かかとを当てて3回転すると幸運に恵まれ、再びミラノを訪れることができるという言い伝えで知られている。毎日数千人の観光客が幸運を求めて訪れるため、睾丸部分は摩耗によって陥没してしまう。そうしたことからミラノ市は数十年ごとにモザイクの修復を行ってきた。

今回の修復は5月27日から30日にかけて実施された。修復士のジャンルカ・ガッリは、損傷部分を約2.5センチ掘り下げ、手作業で切り出した石片を使って補修したという。

修復後のモザイクの写真をミラノ市評議員のマルコ・グラネッリがFacebookに投稿し、工事完了を祝うコメントを添えたところ、投稿には仕上がりに疑問を呈するコメントが殺到した。

最も注目を集めたのは、修復後の雄牛から睾丸がなくなっているように見えたことだ。一部では、観光客が儀式を行えないよう意図的に「去勢」したのではないかとの憶測まで飛び交った。

また、「タイルの色や大きさが不揃いで、目地の仕上げも雑だ」と指摘する声や、約3万ユーロ(約560万円)とされる修復費用を無駄遣いだと批判する声も上がっている。

世界最古級のショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」は、同名のイタリア王国初代国王にちなんで1865年から1877年にかけて建設された。最近では映画『プラダを着た悪魔2』のロケ地としても使用されたほか、「雄牛のモザイク」が修復される数カ月前には、俳優ジョージ・クルーニーと妻アマルもこの場所を訪れ、儀式を行ったと伝えられている。グラネッリは先週、AFP通信の取材に対し、このアーケードについて「愛され、人々が集うからこそ傷みやすい、生きた遺産だ」と語っている。

イタリアには、観光客による「儀式」が原因で修復を余儀なくされている名所がほかにもある。ヴェローナにある、ネレオ・コスタンティーニが1969年に制作したシェークスピア『ロミオとジュリエット』のヒロイン、ジュリエットの青銅像もその一例だ。観光客が恋愛成就を願って右胸を触り続けた結果、像が変形し、これまで何度も修復が行われてきた。

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