エジプトで約3500年前の岩窟墓を発見。ヒエログリフが明かす高官と家族たちの姿

エジプト・サッカラのブバステイオン墓地で、新王国時代に造られた3基の岩窟墓が発見された。壁に刻まれたヒエログリフから、約3500年前を生きた高官たちやその家族の経歴、近東との軍事・外交関係が浮かび上がる。

墓内の壁に施されたレリーフ。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities.

エジプトの考古学調査団が、サッカラのブバステイオン墓地で、新王国時代(紀元前1550~前1070頃)に築かれた3基の岩窟墓を発見した。エジプト観光・古代遺物省が7月19日に発表し、Ahram Onlineなどが報じた。

カイロの南西約40キロに位置するサッカラは、古代エジプトの都市メンフィスの重要な墓域だった。第18王朝(紀元前1550~前1292)後半には、多くのメンフィスの高官たちがブバステイオンの石灰岩の断崖に自らの墓を築いた。

エジプト国内の発掘調査を管轄する考古最高評議会(Supreme Council of Antiquities、SCA)の事務局長ヒシャム・エル=レイシーによると、新たに発見された墓のヒエログリフ(神聖文字)には、被葬者に関する詳細な情報が記されていたという。

発掘調査の様子。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquitiesا
発掘調査の様子。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquitiesا
墓内の壁に施されたレリーフ。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquitiesا
墓内の様子。Photo: Facebook/Ministry of Tourism and Antiquitiesا

サッカラ遺跡責任者のアムル・エル=タイエブによれば、1基目はメントゥホテプという名の高官のものだった。墓内に施された浮き彫りには、母エイホテプと並んで座るメントゥホテプの姿が表されている。

碑文には、「世襲公」、「市長」、「王の臣下」、「統治者の心を喜ばせる者」、「管理者」、「外国の監督官」、「クブシット市の軍隊監督官」など、メントゥホテプが有した数多くの称号が列挙されていた。これらの肩書きから、彼が新王国時代初期に行政と軍事の両面で最高位に近い職務を担っていたことがうかがえる。さらに、この墓内にはまだ完全には発掘されていない埋葬用の竪穴も残されている。今後の調査によって、メントゥホテプの経歴や家族、エジプト王朝における役割がより明らかになる可能性がある。

2基目は、「プタハ神殿領の大商人」という称号を持つパレムウィア(別名サムト)の墓だった。墓内の碑文には、「家の女主人」の称号を持つ妻トゥウィ、「アメン神の歌い手」だった母アティビュ、そして4人の息子の名前が記されていた。研究者らは新王国時代の有力な高官とその家族の生活を詳しく伝える貴重な記録として期待を寄せる。

3基目は保存状態が悪いものの、ネヘシという人物の墓であることが判明した。現存する碑文には、ネヘシが「家の監督官」、妻ネフェルプタハが「家の女主人」の称号を持っていたことが記されていた。

この墓でとりわけ注目されるのが、柱の一部に残されたヒエログリフだ。そこには、シリア北部に位置するナハルン地方からある指揮官が帰還したことが記されていた。SCAエジプト考古部門責任者のモハメド・アブデル・バディは、「この碑文は、墓が新王国時代に造られたことを裏づけるだけでなく、当時のエジプトと近東との軍事・外交上の繋がりを示す新たな証拠でもあります」と、その重要性を説明する。

SCA事務局長のエル=レイシーは、今回の発見は、古代エジプトが繁栄と権勢の頂点に達した新王国時代の社会をより深く理解する手がかりになると話す。調査団は今後、未調査の竪穴や周辺区域の発掘を進め、新王国時代の社会やブバステイオン墓地の歴史をさらに解明する方針だ。(翻訳:編集部)

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