ジェームズ・タレル最大規模、「スカイスペース」100作目が公開へ──巨大ドームで「光」を体験

デンマークのARoSオーフス美術館で、ジェームズ・タレル(James Turrell)の代表シリーズ「スカイスペース(Skyspace)」100作目となる《As Seen Below – The Dome, a Skyspace》が6月19日に公開される。高さ約15メートル、直径約40メートルのドーム空間は、タレル作品として過去最大規模となる。

ジェームズ・タレル《As Seen Below - The Dome,a Skyspace by James Turrell》Photo: Mads Smidstrup © ARoS, 2025. From James Turrells visit in As Seen Below, June 2025.

光と空間を操る現代美術家、ジェームズ・タレルの過去最大規模となる展示スペースが6月19日、デンマークARoSオーフス美術館(ARoS Aarhus Art Museum)にオープンするとフィナンシャル・タイムズが報じた。

作品名は《As Seen Below – The Dome, a Skyspace》。タレルが1974年から制作を続ける「スカイスペース(Skyspace)」シリーズの最新作で、天井に大きな開口部を設け、その先に広がる空を作品として体験させるインスタレーションだ。現在26カ国以上に展開されている同シリーズの記念すべき100作目となるこのスカイスペースは、高さ約15メートル、直径約40メートルを誇り、ローマのパンテオンのドームとほぼ同規模だ。

光が導く深い瞑想体験

フィナンシャル・タイムズによると、作品内では、鮮やかな紫がかった濃いピンクやピーチ、インディゴ、淡いブルーグリーンなどさまざまな色彩の照明が用いられ、鑑賞者の空間認識を揺さぶりながら深い瞑想的体験へと導くという。

作品の背景には、タレルのクエーカー(キリスト教の一派)としての信仰的なルーツがある。クエーカーの礼拝は沈黙を重んじ、光との深い結びつきを信仰の中心に据えている。初期のクエーカーたちは自らを「光の子どもたち」とも呼んでいた。タレルは、祖母から礼拝の席で「内側に入り、光に挨拶しなさい」と教えられたという逸話をたびたび語っている。実際、米テキサス州ヒューストンにある彼のスカイスペースのひとつは、クエーカーの集会所に設置されている。

ジェームズ・タレル《As Seen Below - The Dome,a Skyspace by James Turrell》Photo: Mads Smidstrup © ARoS, 2025. From James
Turrells visit in As Seen Below, June 2025.
ジェームズ・タレル《As Seen Below - The Dome,a Skyspace by James Turrell》Photo: Mads Smidstrup © ARoS, 2025. From James
Turrells visit in As Seen Below, June 2025.
ジェームズ・タレル《As Seen Below - The Dome,a Skyspace by James Turrell》Photo: Mads Smidstrup © ARoS, 2025. From James
Turrells visit in As Seen Below, June 2025.
ジェームズ・タレル。Photo: Mads Smidstrup © ARoS, 2025. From James
Turrells visit in As Seen Below, June 2025.

深刻な財政難を乗り越え

このドーム構想は2015年に発表され、シュミット・ハマー・ラッセン・アーキテクツ(Schmidt Hammer Lassen Architects)との協働プロジェクトとして進められてきた。しかし、その道のりは平坦ではなかった。当初は2023年の完成を予定していたものの、財政面や技術面での課題が相次いだ。さらに2026年には、大型ドームの屋根部材を供給するメーカーが倒産する事態も発生した。

2016年時点での拡張費用の見積もりは4000万ユーロ(現在の為替レートで約74億4000万円)だったが、デンマークメディアの報道によると、2026年に入りさらに670万クローネ(同・約1億円)の追加資金が必要になったという。

瞑想やヨガなど多様な体験も計画

フィナンシャル・タイムズの取材に対して、タレルは同作を次のように語った。

「私はいつも、人々に『光』の価値を認識してほしいと願ってきました。アートの世界で、人々、特にコレクターたちは常に宝物を求めています。だから絵画は、時代が進んでも依然として力を持つのです。私は光で描きます。光を使って、知覚を操るのです」

また、ARoSオーフス美術館の館長レベッカ・マシューズは声明で次のように述べた

「ジェームズ・タレルの作品は、驚嘆や存在の実感、そしてコミュニティの絆を呼び起こすために制作されています。この特別な空間で、光の詩情を皆さまに体験していただけることを大変うれしく思います。来場者の皆さまには、単なる鑑賞者としてではなく、一生の思い出となるような体験の参加者として、この作品と向き合っていただければと思います」

作品公開を記念し、美術館ではトークイベントやコンサートのほか、瞑想やヨガセッションなどさまざまなプログラムを開催する予定だ。

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