ジェームズ・タレルが新作の建設計画を発表! コンセプトは「古代砂漠の中の宇宙観測所」
サウジアラビア・アルウラの砂漠に広がる屋外美術館、ワディ・アル・ファンにジェームズ・タレルの新作が建設されることが発表された。タレルの新作は2029年に完成する見通しで、ほかにもランドアートのパイオニアであるマイケル・ハイザーなどの作品も展示されるという。
光と空間を巧みに操る現代美術家、ジェームズ・タレルのランドアート作品が、サウジアラビア・アルウラの屋外美術館、ワディ・アル・ファンに新たに建設されることがわかった。タレルは、自身のランドアート作品《Roden Crater(ローデン・クレーター)》が展開されているアリゾナ州北部とワディ・アル・ファンには通ずるものがあるとコメントを発表し、こう続けた。
「目の前に広がる風景に私は非常に親しみを感じましたし、この場所で作品を制作することに不思議なほど居心地のよさを感じました。ワディ・アル・ファンには、空のさまざまな側面を表現する《Skyspace(スカイスペース)》が大小合わせて4つ設置される予定です。作品が展示される地域の自然光が取り入られている本作ですが、アルウラの場合、乾燥して水分がほとんどない砂漠の空気が取り込まれるので、鮮明で澄んだ光が入り込んでくることでしょう」
タレルの新作が展開される峡谷の底には、広大な通路とトンネル、階段などが彫られる予定だ。来場者たちは地下空間と地上空間を出入りしながら明るい場所と暗い場所を往来し、この土地でしか体験することのできない感覚を堪能できる。ワディ・アル・ファンの主任キュレーターを務めるイヴォナ・ブラズウィックは、峡谷内に新設される《Skyspace》は「地平線を消し去り、天空から放たれる光に対する概念を刷新する宇宙観測所」のような役割を果たすと語る。また、地上では周囲の砂岩の崖に刻み込まれた「惑星図」が展開される予定で、タレルが「光の本質」と呼ぶ哲学を体現する、大地と空の対話を生み出すインスタレーションだ。
64平方キロメートルに及ぶワディ・アル・ファンでは、2029年完成予定のタレルの作品以外にも、ランドアートのパイオニアの一人であるマイケル・ハイザーやサウジアラビア人アーティストのマナル・アルドワヤンをはじめとする4名の作家が手がける作品が展開される予定だ。
また、ワディ・アル・ファンでは今回の発表に先だって、「Wadi AlFann presents: James Turrell」と題された展覧会が1月19日から開催されており、これまで彼が手がけてきた《Alta》(1968年)や「Glassworks」シリーズから《Jubilee》などの作品が展示されている。