クリスティーズ、NY本社にワインショップ開設へ──「ワイン分野への投資を強化」
ニューヨーク州で成立した新法を受け、クリスティーズが本社内でのワインショップ開設に向けて動き出した。長らく同社のワイン販売を制約してきた禁酒法時代の規制が緩和されることで、ワインオークション事業の巻き返しに注目が集まる。
オークションハウスのクリスティーズが、ニューヨークのロックフェラー・センターにある本社内に、ブティック型のワインショップを開く計画を進めている。実現の後押しとなったのは、同社に対して禁酒法時代に由来する一部規制の免除を認める、ニューヨーク州の新法だ。
ニューヨーク・ポスト紙の報道によれば、ワイン販売者が製造者を兼ねることを禁じる禁酒法時代の規制を、クリスティーズが回避できるようにする法律が可決されたという。これまで同社がワイン販売に制約を受けてきたのは、親会社のアルテミス・グループが、ボルドーのシャトー・ラトゥールをはじめとする複数のワイナリーを所有しているためだ。クリスティーズの広報担当者は、声明で次のように述べている。
「消費者保護を徹底し、適正かつ法に準拠した事業展開を行うべく、必要な法的手続きにしっかりと向き合ってまいりました」
新たなワインショップの開設は、クリスティーズのワインオークション事業拡大につながる可能性があると、関係者はニューヨーク・ポスト紙に語っている。同事業は数十年前まで世界最大規模を誇っていたが、現在の売上高は8900万ドル(約142億6500万円)にとどまり、アッカーやザッキーズ、サザビーズなどの後塵を拝している。今回の動きについて、ニューヨーク郊外でワイン小売店を営むダニエル・ポズナーは、同紙に次のようにコメントした。
「ワインオークション事業の売り上げを見る限り、クリスティーズはサザビーズほどの規模には達していません。ただ、決して手をこまねいているわけではありません。富裕層の顧客が集まるロックフェラー・センターに拠点を構えることは、巻き返しを狙うクリスティーズにとって有効な戦略と言えるでしょう」
同社の広報担当者はUS版ARTnewsに「Christie's Wine and Spirits」と題されたショップは2026年内にオープンする予定だと語った。店頭では、クリスティーズのスペシャリストが選んだワインを顧客に紹介し、ファインワインやコレクションの魅力を通じて、オークション以外の形でも同社と接点を持てる場を目指すという。広報担当者はさらにこう続けた。
「ワイン分野への投資を強化し、アメリカ市場での存在感をさらに高めたいと考えています。クリスティーズが大切にしてきた親しみやすさと卓越性を軸に、世界中の顧客に向けて、コレクションに関する包括的なサービスを提供していきます。現代のグローバル市場で入手できる、希少性と品質に優れたワインを厳選し、初心者から経験豊富なコレクターまで幅広く迎えたいと考えています」
クリスティーズは昨年6月、ウィリアム・I・コッホのコレクションオークションで2880万ドル(約46億1600万円)の売上を記録し、単一所有者によるワインコレクションとして北米史上最高額を達成した。さらに今年6月5日に開催したオークションでも、約320万ドル(約5億1300万円)を売り上げている。(翻訳:編集部)
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