ガウディ「幻のNY超高層ホテル」がAIで蘇る──サグラダ・ファミリアを超える高さ360メートル

ベルギー人アーティストのティエリー・ルシャントゥールが、アントニ・ガウディ(1852-1926)の没後100年を記念し、幻のニューヨーク超高層ホテル計画をAIで映像化した。実現していればスペイン国外初のガウディ建築になっていた可能性がある。

ティエリー・ルシャントゥールがAIで再現したアントニ・ガウディの「Hotel Attraction」。Photo: Instagram/thierrylechanteur

ベルギー人アーティストのティエリー・ルシャントゥール(Thierry Lechanteur)が、アントニ・ガウディの没後100年を記念し、ニューヨークで実現しなかった建築プロジェクトをAIで映像化した。Dezeenが伝えた。

題材となったのは、1908年に構想されたものの、一度も建設されることのなかった超高層ホテル「Hotel Attraction(ホテル・アトラクション)」だ。アメリカ人実業家2人の依頼によるもので、ロウアー・マンハッタンに、中央塔を中心とした9棟からなる超高層複合施設を建設するという壮大な計画だった。中央塔の高さは約360メートルに達し、サグラダ・ファミリアの完成予定高である172.5メートルを大きく上回る規模だった。

計画では、中央塔は星形の頂部を備え、その周囲を8棟の低層棟が取り囲む構成だった。ガウディは、鉄、セメント、石、レンガを組み合わせ、モザイクやガラスドームで仕上げることを想定していたとされる。施設内にはホテルのほか、劇場やギャラリー、レストランを設け、最上部には「スペース・タワー」と呼ばれる展望台が配置される予定だった。

計画が頓挫した理由については諸説ある。実現不可能と判断されたことや、1909年にガウディが病気のためプロジェクトを中断したこと、あるいは富裕層のみを対象としようとする依頼主の方針に反発して自ら降板したことなどが伝えられている。もし実現していれば、スペイン国外で唯一のガウディ建築となっていた可能性がある。

このプロジェクトは長らく知られていなかったが、ガウディの協働者だった彫刻家ジョアン・マタマラ・イ・フロタッツが1956年に発表した報告書『When the New World Called Gaudí』をきっかけに広く知られるようになった。さらに2003年には、美術史家グループがワールドトレードセンター跡地の再開発をめぐる国際コンペにこの設計案を提出したことで、再び注目を集めた。

こうしたHotel Attractionに新たな命を吹き込んだのがルシャントゥールだ。彼は「写真と建築、記憶と想像のあいだにあるビジュアル・フィクションの創造」を掲げ、AI黎明期の2022年からAIを活用した建築ビジュアルの制作を続けている。

今回の制作にあたり、ルシャントゥールはまず、プロジェクトに関する学術資料や図面を徹底的に収集し、それらを詳細なブリーフ(制作指示書)へと書き直した。その後、複数のAIモデルを用いて数多くのレンダリング画像を生成した。主に使用したのはImagineArtだったという。制作について、ルシャントゥールはDezeenの取材に次のように語っている。

「生成した数十枚の画像の中から最も力強いものを選び、Photoshopで手を加えたうえで、さらにAIによる処理を重ねて最終的な統一感を持たせました。シャッターを一度切るというよりも、編集室で作品を組み立てるような作業でした」

2026年6月7日、こうして完成したレンダリング画像と映像をインスタグラムに投稿すると、たちまちSNSで拡散された。ルシャントゥールは今回の作品について、Dezeenに「建築遺産をビジュアル・フィクションとして再訪するのが私の仕事です」と語り、さらにこう続けた。

「ガウディの没後100年にあたり、私は彼の設計図を忠実に再現するのではなく、彼の夢を延長したかったのです。ニューヨークのために彼が思い描いた塔を、図面からではなく、彼の建築的語彙をもとに自由に解釈しながら育てていきました。

人々は『もう少しで実現していたかもしれない建築』に心を動かされるのだと思います。Hotel Attractionは、実現しなかったもうひとつのニューヨークの幻影のような存在です。そして、その姿がレンダリング画像として描かれることで、『実現しなかった未来』へのノスタルジーのような感情を呼び起こします。一方で、ガラスと鉄骨の高層ビルが立ち並ぶ現代の都市景観の中では、高さ360メートルに及ぶ色彩豊かで曲線的なタワーは、1908年当時以上に新鮮で革新的な存在として映るのかもしれません」

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