麻薬捜査で22億円超の盗難ピカソ作品を発見。美術品保管倉庫の警備員が犯行認める

6月15日、パリ郊外の民家に薬物捜査で踏み込んだ警察官が、盗まれたパブロ・ピカソ(1881-1973)の絵画を発見した。作品の評価額は約1370万〜1710万ドル(約22億1000万〜27億6000万円)とされている。

母マリー=テレーズ・ワルテルの肖像画の前に立つ娘マヤ・ルイス=ピカソ。1981年撮影。Photo: Keystone/Hulton Archive/Getty Images

6月15日、パリ郊外のシャンピニー=シュル=マルヌにある民家へ麻薬捜査のため踏み込んだ警察官が、盗まれたパブロ・ピカソの絵画を発見した。

摘発を行ったのは、フランス国家警察の麻薬捜査専門部隊「ブリガード・デ・ストゥペフィアン」だ。フランス紙ル・パリジャンによると、発見された作品は、ピカソの愛人でありミューズでもあったマリー=テレーズ・ワルテルを描いた絵画とされる。

この作品はシンガポール人コレクターの所有物で、評価額は約1370万〜1710万ドル(約22億1000万〜27億6000万円)。今回の捜査では、6人が逮捕された。そのうちの1人は、美術品や貴重品の保管を専門とするパリの企業で警備員として働いていた37歳の男だ。同紙によると、男は「施設のセキュリティ上の欠陥を世に知らしめるために盗んだ」と供述しているという。

捜査ではこのほか、大麻樹脂約18キロ、数千ユーロの現金、数十万ユーロ相当のブランド衣料品も押収された。逮捕された6人のうち2人は釈放され、残る4人は6月19日に初回審問を受けた。裁判は8月に行われる予定だ。

美術史上有名な、ピカソとマリー=テレーズ・ワルテルのロマンスが始まったのは1927年のこと。パリのデパート、ギャラリー・ラファイエットの前にいたワルテルに対し、すでに名声を確立していたピカソは「君は面白い顔をしているね。肖像画を描いてみたい。私はピカソだ」と声をかけた。

当時、ワルテルは17歳で、ピカソが著名な画家であることを知らなかった。一方、45歳のピカソは、ロシア人バレリーナのオルガ・コクローヴァと結婚していた。モデルと画家として出会った2人はやがて恋愛関係となり、その関係は約8年間続く。1935年には娘のマヤ・ルイス=ピカソが誕生している。

ピカソ作品はオークション市場においてもなお圧倒的な存在感を放っている。オークション落札額の最高記録は、2015年にクリスティーズ・ニューヨークで落札された《アルジェの女たち(バージョンO)》(1955)の1億7940万ドル(現在の為替で約290億円)だ。

また、美術品分析会社ARTDAIのデータによると、5000万ドル(約81億円)を超える価格で取引されたピカソ作品は、現在16点にのぼる。(翻訳:編集部)

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