今週末に見たいアートイベントTOP5:会田誠が大作《混浴図》を公開制作、ピーター・ハリーが新作を発表

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

山内祥太「まだ顔になる前の緑 ー The Green Before the Face」(GALLERY KTO 新宿)より、山内祥太《コンドルは飛んでゆく》/ El Conder Pasa 2015年 8分39秒 シングルチャンネル・ビデオ

1. Peter Halley「Parable」(Ceysson & Bénétière Tokyo)

Image Credit: Photo: Sakamoto Osamu / Courtesy of the artist and Ceysson & Bénétière
Image Credit: Photo: Sakamoto Osamu / Courtesy of the artist and Ceysson & Bénétière
Image Credit: Photo: Sakamoto Osamu / Courtesy of the artist and Ceysson & Bénétière

新作からたどる、ピーター・ハリーの幾何学的世界

アメリカのアーティスト、ピーター・ハリーによる個展。1980年代以降、現代社会の構造や人間を取り巻くシステムを表現してきたハリーは、ポストモダン以降の抽象絵画を代表する作家のひとりとして国際的に活動を続けている。蛍光色やRoll-a-Tex(塗料に混ぜて表面にざらつきを出す添加剤)による独特な質感と、長方形の基盤に配置される「監獄」や「セル」と呼ばれる幾何学的モチーフを用いた作品が特徴的だ。

本展では、2025年から2026年にかけて制作された未発表作品を紹介する。会場には、展覧会タイトルにもなった大型作品《Parable》をはじめ、絵画8点とドローイング7点が並ぶ。近年の「small prisons」「small cells」シリーズでは、セルや監獄が背景から滑り落ちるような不安定な構成へと変化し、中・大型作品では複数のモチーフを積層的に組み合わせた画面が展開される。デジタルプリントとアクリルを組み合わせたドローイングもあわせて紹介され、40年以上にわたって更新を続けるハリーの造形的探求をたどることができる。

Peter Halley「Parable」
会期:5月28日(木)〜8月22日(土)
場所:Ceysson & Bénétière Tokyo(東京都中央区銀座5-12-6 CuraGinza8F)
時間:11:00〜19:00
休館日:日月、8月12日〜15日


2. 2人展 会田誠・岡田裕子(カスヤの森現代美術館)

公開制作とインスタレーションで交差する2人の視点

会田誠と岡田裕子による展覧会。社会や歴史、ジェンダーを主題にそれぞれ独自の表現を展開してきた2人が、新作を中心に展示を行う。会田は会期中、開館時間のほぼ全てを使って公開制作を実施。P500号3枚からなる大型絵画《混浴図》の制作過程を来場者に公開する。

《混浴図》は、雪が舞う巨大な混浴露天風呂を舞台に、年齢や国籍、時代、実在・非実在、社会的な善・悪を問わないさまざまな存在が共存する光景を描く壮大なプロジェクト。また、新たな抽象絵画シリーズもあわせて展示される。一方、岡田は、物故女性アーティストをテーマとしたインスタレーション《井戸端で、その女たちは》を発表。井戸を囲んで語り合う女性たちの声と光によって構成される空間を通じて、歴史の中で見過ごされてきた女性たちの存在を取り上げる。公開制作とインスタレーションという異なるアプローチで、それぞれの近年の創作を紹介する。

2人展 会田誠・岡田裕子
会期:5月30日(土)〜8月16日(日)
場所:カスヤの森現代美術館(神奈川県横須賀市平作7-12-13)
時間:10:00〜17:30(入場は30分前まで)
休館日:月~水


3. 中谷ミチコ 影とぽっこり(浜松市秋野不矩美術館)

第一展示室 展示風景 Photo: Hayato Wakabayashi
第二展示室 展示風景 Photo: Hayato Wakabayashi
二階企画展示室 展示風景 Photo: Hayato Wakabayashi

彫刻と日本画から読み解く「気配」の表現

石膏によるレリーフ作品で知られる彫刻家・中谷ミチコの個展。凹凸を反転させた独自の技法によって、そこに存在しないはずの形を立ち上がらせる作品は、「不在の彫刻」とも呼ばれる。近年は東京メトロ虎ノ門駅のパブリックアートなども手がけている。本展では、「不在」や「気配」という視点から、中谷の作品と、浜松市秋野不矩美術館が所蔵する秋野不矩の作品をあわせて紹介する。

展示では、《影、魚をねかしつける》(2025)をはじめとする代表作や新作、ドローイングなどを公開。同館が所蔵する秋野不矩の「廃墟」シリーズなどと並置することで、彫刻と絵画という異なる表現に共通する視点を探る構成となっている。両作家が日常の風景や気配をどのように作品へ取り込み、目に見えない存在を表現してきたのかを比較しながら鑑賞できる。

中谷ミチコ 影とぽっこり
会期:7月4日(土)〜8月23日(日)
場所:浜松市秋野不矩美術館(静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130)
時間:10:00~17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜


4. 森 靖「giga」(PARCEL)

©Osamu Mori, in courtesy of PARCEL, photo by Kohei Omachi

過去最大の木彫が問う「スケール」

彫刻家・森靖の個展。2000年代から国内外で活動を続ける森は、木彫を軸に、身体やスケール、彫刻と社会との関係を問い続けてきた。また、自身の制作を「巨大化宣言」と位置づけており、2020年にはPARCELで高さ約4メートルの大型彫刻を発表し、2023年の作品はオーストラリアのビクトリア国立美術館(NGV)に収蔵された。2024年には長野の碌山美術館で大型作品からなる個展を開催した。

本展では、その「巨大化宣言」の延長線上にある過去最大規模の新作を公開する。樹齢100年を超える木材20本以上を用い、お台場の自由の女神像に近いスケールで制作された木彫を中心に、奇形樹や鍾乳石、鉛など異なる素材を用いた新作も展示。タイトルの「giga」は、「ギガ」という言葉が巨大さを示すものではなく、日常的な情報量の単位として定着した現代を起点としている。巨大さを感じる感覚そのものが変化した時代に、森は過去最大規模の彫刻を通して、スケールと身体感覚の関係を問いかける。

森 靖「giga」
会期:7月11日(土)〜8月23日(日)
場所:PARCEL(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD hotel 1F)
時間:14:00〜19:00
休館日:月火祝、8月13日〜8月16日


5. 山内祥太「まだ顔になる前の緑 ー The Green Before the Face」(GALLERY KTO 新宿)

展示風景。
展示風景。
《SASUKE》
2014年 
5分00秒 
シングルチャンネル・ビデオ
《コンドルは飛んでゆく》/ El Conder Pasa
2015年 
8分39秒 
シングルチャンネル・ビデオ

クロマキーが開いた、身体と映像表現の出発点

山内祥太の初期作品を中心に構成する個展。山内は、実写映像と3DCGを組み合わせた映像作品やインスタレーションを通して、現実と仮想空間の境界、身体感覚の揺らぎをテーマに制作を続けてきた。近年は大規模インスタレーションやパフォーマンスへと活動を広げる一方、本展では大学在学中から卒業後にかけて制作した初期作品に焦点を当てる。

会場では、クロマキー合成を用いた初期映像作品と同時期の立体作品をあわせて展示。自身で撮影した風景を3Dスキャンし、不完全なデータのまま仮想空間へ取り込むことで、現実と非現実が交錯する映像空間を構築している。タイトルにある「緑」は、映像制作で用いるグリーンバックを指すと同時に、山内がその時期に手にしていたという、世界を別のかたちで捉え直すための感覚を象徴する 。現在のインスタレーション制作へと繋がる身体、映像、彫刻への関心を、初期作品から読み解く内容となっている。

山内祥太「まだ顔になる前の緑 ー The Green Before the Face」
会期:7月21日(火)〜8月29日(土)
場所:GALLERY KTO 新宿(東京都新宿区西新宿3-18-2 サンビューハイツ新宿1階103)
時間:13:00〜19:00
休館日:日月

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