バチカン美術館の「ラファエロのロッジア」が修復へ──全長65メートルを20人態勢で洗浄・保存処置
バチカン美術館が、宮殿内の連作「ラファエロのロッジア」の修復計画を発表した。全長65メートルに及ぶ回廊の装飾を対象に、剥落の恐れがある絵の具の固定やフレスコ画の洗浄、保存環境の改善を進める。
バチカン宮殿にある連作「ラファエロのロッジア」を対象とする5年がかりの修復プロジェクトが進められている。バチカン美術館が6月下旬に発表したこのプロジェクトでは、教皇の公邸としても知られる使徒宮殿内にある、全長65メートルに及ぶルネサンス期の傑作に、20人以上の専門家が洗浄と保存処置を施す。作品の表面処置に加え、長年の課題となってきた保存環境の改善にも取り組むという。
1517年から1519年にかけて、教皇レオ10世のためにラファエロとその工房によって制作された本作は、バチカン宮殿の2階に位置し、13の区画で構成されている。壁面には、古代ローマの装飾に着想を得た精巧な意匠のなかに、旧約聖書と新約聖書の場面が描かれている。
修復チームによれば、ロッジアは長いあいだ外気に近い環境に置かれ、雨や直射日光、雪、湿気の影響を受けてきた。19世紀には作品を風雨から守るためにガラス窓が設置されたが、その結果、回廊内に微気候(*1)が生じ、絵の具の劣化につながったという。イタリアの日刊紙イル・メッサジェッロによれば、フレスコ画の予備調査では壁の斜めになった部分にある2つの装飾は偶然にも光から遮られており、本来の鮮やかさを保っていることも分かった。
*1 ビルの谷間や建物の軒下など、特定の空間において、周囲とは異なる気温や湿度、気流などの状態が生じること。
絵画・木材修復部門の副責任者を務めるアンジェラ・チェッレータは、アート・ニュースペーパーの取材に対し、修復士たちはまず剥がれやすくなった絵の具を固定し、その後ファイバーレーザーを用いてフレスコ画を洗浄すると説明している。洗浄後は、加筆が必要な部分に色を補うが、オリジナルと修復部分を識別できる技法を用いるという。現在は4つの区画を重点的に修復しており、その後、ギャラリーの残りの部分へ作業を広げる予定だ。チェッレータはさらにこう続ける。
「過去の修復で使われた接着剤が収縮し、絵の具を引き剥がされています。こうした接着剤や保護フィルムを取り除かなければ、今後も色は剥がれ落ち続けるでしょう」
今回の修復プロジェクトは、ワールド・モニュメント財団が主導し、修復、技術指導、デジタル記録を目的とする取り組み「Legacy of Raphael: The Vatican and Beyond」から550万ドル(約8億9000万円)の支援を受けている。同イニシアチブには、スティーブン・A・シュワルツマン財団から1430万ドル(約23億1350万円)が寄付されているほか、新しい窓の設置費用などは、非営利団体「The Patrons of the Arts in the Vatican Museums」が負担する。(翻訳:編集部)
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