今週末に見たいアートイベントTOP5:大英博物館が誇る日本美術の至宝、AIの時代に「誰が作るのか」を考える
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 椿昇 フリーダム―像(ゾウ)と生きる(十和田市現代美術館)
巨大な「ゾウ」が問う、自由であることの意味
現代美術家・椿昇の個展。巨大な生命体やユーモアを帯びた造形を通して、資本主義社会や人間の欲望、共同体のあり方を問い続けてきた椿は、1993年のヴェネチア・ビエンナーレへの参加をはじめ国内外で活動を展開してきた。同館では、開館時から屋外に設置されている巨大な赤いアリ《アッタ》(2008)でも知られる。本展では、新作を中心としながら椿の40年以上の創造の歩みを紹介する。
展覧会の核となるのは、本展のために制作された巨大なゾウの頭部を象ったバルーン作品《the Elephant in the Room XL》(2026)だ。タイトルは、英語で「誰もが気づきながら口にしない問題」を意味する慣用句でもある。さらに会場には、椿自身が約2週間滞在して制作を行うスタジオ空間も設けられ、ゴッホ《夜のカフェテラス》へのオマージュや学生時代の記憶を重ねたインスタレーションへと発展していく。
椿昇 フリーダム―像(ゾウ)と生きる
会期:6月6日(土)〜11月8日(日)
場所:十和田市現代美術館(青森県十和田市西二番町10-9)
時間:9:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
2. セゾン現代美術館コレクション展 ソコからみたキセキ(セゾン現代美術館)
「解説のない展示室」で作品と向き合う
1981年の開館以来、国内外の現代美術を収集・紹介してきたセゾン現代美術館。45周年という節目を迎え、2年間の休館を経て新たな空間で再始動する初のコレクション展となる。
本展が焦点を当てるのは。「見ること」そのもの。最大の特徴は、展示室に作品キャプションや解説が置かれていないという点だ。来場者はまず作品そのものと向き合い、その後にウェブサイトや展示マップから作品情報へアクセスする仕組みとなっている。出品作にはアニッシュ・カプーア、アレクサンダー・カルダー、マン・レイ、鴻池朋子らの作品が並び、作品の前で立ち止まる順番や目を引かれた理由も含めて、一人ひとり異なる鑑賞体験が生まれる構成となっている。
セゾン現代美術館コレクション展 ソコからみたキセキ
会期:6月26日(金)〜8月23日(日)
場所:セゾン現代美術館(長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140)
時間:10:00〜18:00(入場は1時間前まで)
休館日:会期中無休
3. 落合陽一|天孫帰るってよ?(鹿児島県霧島アートの森)
天孫降臨の地に広がる、「デジタルネイチャー」10年の集大成
メディアアーティスト・研究者として活動する落合陽一の公立美術館では初となる大規模個展。2015年に提唱した「計算機自然(デジタルネイチャー)」の概念を軸に、約10年にわたる制作と研究を総括する。大阪・関西万博の《null²》を経た現在地から、人間とテクノロジー、自然と人工物の関係をあらためて問い直す。
舞台となる鹿児島県の霧島アートの森は、「天孫降臨」の神話が伝わる土地であり、火山活動や縄文文化の痕跡が重なる場所でもある。本展では、その土地性を取り込みながらインスタレーションを展開し、デジタルと自然、神話と科学が交差する世界観を構築。これまでの代表的なプロジェクトをたどりながら、落合が探究してきた思想を空間全体で体験できる展覧会となっている。
落合陽一|天孫帰るってよ?
会期:7月11日(土)〜9月23日(水祝)
場所:鹿児島県霧島アートの森 アートホール(鹿児島県姶良郡湧水町木場6340番地220)
時間:9:00〜17:00、8月31日までの土日祝日は19:00まで(入場は30分前まで)
休館日:月曜(9月21日を除く、祝日の場合は翌日)
4. 東京都美術館開館100周年記念 大英博物館 日本美術コレクション 百花繚乱 ~海を越えた江戸絵画(東京都美術館)
珠玉の日本美術約200件が里帰り
同館開館100周年を記念して開催される、大英博物館の日本美術コレクション展。大英博物館が所蔵する日本美術は海外でも屈指の規模と質を誇り、19世紀後半のジャポニスムを背景に形成されたコレクションは、長年にわたる収集と研究によって充実してきた。本展では、その中でも江戸時代の絵画と版画を中心に、約200件を紹介。近年の調査成果や収集の歴史も交えながら、日本美術が海を越えて受け継がれてきた軌跡をたどる。
見どころは、葛飾北斎、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川広重、歌川国芳ら八大浮世絵師が一堂に会した版画と肉筆画だ。北斎による未出版の版下絵8点や、歌麿最晩年の肉筆画など、日本初公開を含む作品も多数出品される。また、大英博物館、青森・宮越家、シアトル美術館に分蔵されていた狩野派の襖絵が約150年ぶりに再会。世界各地に渡った江戸絵画を一つの会場で俯瞰できる、貴重な機会となる。
東京都美術館開館100周年記念 大英博物館 日本美術コレクション ~百花繚乱 海を越えた江戸絵画
会期:7月25日(土)〜10月18日(日)
場所:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
時間:9:30〜17:30、金曜日は20:00まで(入場は30分前まで)
休室日:月曜(9月21日、10月12日を除く)、10月13日
5. ICC キッズ・プログラム 2026 みかんのやくそく つくって、とらえるメディア・クリエイションズ(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])
AIの時代に、「誰がつくるのか」を子どもたちと問い直す
ICC恒例のキッズ・プログラム。今年は「みかんのやくそく」をテーマに、生成AIを含む現代のメディア・テクノロジーを子どもたちの視点から見つめ直す。謎めいたタイトルが示すのは、完成された作品そのものではなく、誰かに手渡され、関わり合いのなかで形を変えながら、新たな創造や思考を生み出していくものへの関心だ。そこには、メディア・テクノロジーが本来約束していたはずの「誰もがつくり、考え、とらえ返すことのできる環境」は、いまどのように実現されうるのか、という問いが込められている。
展示されるのは、スコット・アレン、堀宏行、metamu、AR Audio Guideチーム、Circuit Lab. a team of UNIBAらによる新作インスタレーション。来場者の参加によって変化する作品やワークショップ、ギャラリーツアーなども予定されており、展示空間そのものが「メディア・クリエイションズ」の実践の場となる。子ども向けプログラムとして企画されてはいるが、AI時代における創造性や表現をめぐる問いは大人にも開かれており、夏休みに親子でメディア表現を体験する場としても楽しめそうだ。なお、バーチャル空間「ハイパーICC」でも作品を鑑賞できる。
ICC キッズ・プログラム 2026 みかんのやくそく つくって、とらえるメディア・クリエイションズ
会期:7月25日(土)〜8月30日(日)
場所:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA、ハイパーICC(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4F)
時間:11:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜








































