路上に2800万円の名画を置き忘れ──拾った男性、AIで巨匠ソローリャ作品と判明し返還

スペイン・セビリアの路上に置き忘れられた絵画を、通りすがりの男性が持ち帰った。後に、それがスペイン印象派の巨匠ホアキン・ソローリャ(1863-1927)による最大15万ユーロ(約2800万円)とされる作品だと判明した。

置き忘れられた絵画とよく似た構図のホアキン・ソローリャ作品、《バレンシアの浜辺》(1908)。Photo: Wikimedia commons

スペイン・セビリアの路上に置き忘れられた1枚の絵画が、スペイン印象派を代表する画家ホアキン・ソローリャの作品だったという驚きの出来事があった。

6月27日、ムルシア州在住の57歳の男性アンドレス・ウルタドは、家族とともにセビリアを訪れていた。市中心部を散策中、住宅のガレージの扉に立てかけられた絵画を見つけた。立派な金色の額縁に目を引かれたウルタドは、誰かが捨てたものだと思い込み、そのまま持ち帰ったという。

しかし、その絵はある家族の大切な所有物だった。この家族には、思い入れのある絵画を旅行先へ持参する習慣があったが、荷物を車に積み込む際に道路の混雑に気を取られ、うっかり路上に置き忘れてしまった。気づいて引き返したときにはすでに絵はなく、同日の27日に紛失届を提出した。

家族は街中に貼り紙も掲示した。そこには画家の名前は記されず、「かけがえのない思い出が詰まった絵画」とだけ書かれ、心当たりのある人は警察へ連絡してほしいと呼びかけていた。謝礼を用意していることも明記されていたという。

一方、英紙ガーディアンによると、ムルシアの自宅へ戻ったウルタドは、AIを使って拾った絵について調べた。その結果、海辺に浮かぶ2隻の帆船を描いたこの風景画が、19世紀末から20世紀初頭に活躍したソホアキン・ソローリャの作品である可能性が高いことに気づいた。

ソローリャは、2009年にプラド美術館で大規模な回顧展が開催された際、「当時のスペインで最も国際的に知られた画家のひとりであり、スペイン美術史における鍵となる存在」と評された。彼の風俗画や風景画、肖像画は、メトロポリタン美術館ゲティ美術館オルセー美術館をはじめ、世界各地の美術館に収蔵されている。マドリードにはソローリャとその一族にゆかりのあるソローリャ美術館があるが、現在は改修工事のため休館中だ。ガーディアンは、ウルタドが持ち帰った作品の価値は最大15万ユーロ(約2800万円)に上ると報じている。

絵画が捨てられたものではなかったと知ったウルタドは、警察を通じて正当な持ち主へ返還した。持ち主は謝礼として「ささやかなプレゼント」を用意しているという。(翻訳:編集部)

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