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3000年以上前のカップルの墓をアルメニアの遺跡で発見。豪華な副葬品も

古代アルメニアで宗教と経済の拠点として栄えたメツァモールの遺跡から、カップルの遺骨を納めた保存状態の良い墓が発見された。今から3200年ほど前の、青銅器時代後期(紀元前1300年〜1200年)のものと見られる。

メツァモール遺跡の墓所から発見されたビーズとペンダント。Photo: Nauka W Polsce

アルメニア西部にあるメツァモール遺跡では、この10年ポーランドとアルメニアの考古学研究チームが発掘調査を行ってきた。調査チームの責任者、クシシュトフ・ヤクビャク博士はプレスリリースでこう述べている。

「死因は不明で、なぜ亡くなったのかは謎だ。ただ、一度閉じた墓が開けられた形跡がないことから、男女と見られる2人は同時期に死亡したと推測される」

メツァモールではほとんどの墓が略奪に遭っているため、手つかずで見つかるのものは数少ない。しかし、今回2人が埋葬された場所からは、数百個のビーズ、金とカーネリアン(紅玉髄)のペンダントがついた3つのネックレス、シリアメソポタミアの国境地帯で作られた陶器、木製の埋葬用ベッドの跡など、貴重な副葬品も発見されている。

現在のトルコイラクイラン、アルメニアにまたがる地域には、ウラルトゥ王国があった。4世紀から17世紀頃まで同王国の都市だったメツァモールは、スキタイやキンメリアの騎馬遊牧民に滅ぼされた。

メツァモールで発掘された遺物は繁栄した都市の存在を示しているが、文字を持たなかったため、文書は残されていないと見られている。(翻訳:石井佳子)

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