EUがヴェネチア・ビエンナーレへの約3.7億円の助成金打ち切りを勧告。ロシア館めぐる対応に異議

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が、2026年ヴェネチア・ビエンナーレへのロシア館の参加をめぐり、主催者への約3億7000万円の助成金打ち切りを勧告した。

2026年ヴェネチア・ビエンナーレのセントラル・パビリオン入口。ファサードにはオトボン・ンカンガによるインスタレーションが設置されている。Photo: Maximilíano Durón/ARTnews

7月12日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会(本部:ブリュッセル)は、ヴェネチア・ビエンナーレの2028年開催に向けて割り当てられていた約200万ユーロ(約3億7000万円)の助成金打ち切りを、欧州教育文化執行機関(EACAE)に勧告した。その理由は、今年のビエンナーレにおけるロシア館の参加問題にある。

ロシア館に対しては、ビエンナーレ開幕に先立つプレビューウィーク中、同国出身のフェミニスト・パンクロック・アート集団プッシー・ライオットなど複数のグループによる抗議活動が行われた。それ以前にも数多くの政治家がロシア館の参加を非難しており、ビエンナーレ側は開幕後における同館の一般公開を見送っている。

ロシアを排除するのは、一種の検閲に当たるというのがビエンナーレ側の言い分だ。しかしこれは、2022年開催時の発言と矛盾しているように見える。このとき、ロシア館の代表アーティストとキュレーターがウクライナ侵攻への抗議として展示を自発的に辞退し、ロシア館は閉鎖。ビエンナーレもウクライナへの支持を表明していた。

欧州委員会の幹部であるヘンナ・ヴィルックネンは7月11日、X(旧ツイッター)に投稿した声明でこう述べている。

「欧州における文化は──それが税金で賄われている以上──民主的な価値観を促進し、守るものであるべきです。今日のロシアでは、こうした価値観が尊重されていません」

一方、欧州委員会の姿勢に不満を表す声もあり、イタリアの右派政党レガ・ノルドは声明で次のように主張した。

「ビエンナーレは、歴史、文化、芸術、革新、そして自由そのものです。(本部のある)ブリュッセルの官僚たちがそれを理解できなくても構いません。文化はブリュッセルの命令に屈することなどないのですから」

ロシア政府も同様に欧州委員会を非難し、「ヴェネチア・ビエンナーレに関して言えば、諸外国において我われの文化を排除しようとする動きが続いていることに対し、遺憾の意を表明せざるを得ない」と国営タス通信を通じてコメントしている。

この事態にビエンナーレの広報担当者も声明を発表。欧州委員会の決定はXで知ったと述べ、ビエンナーレ側はすでに同委員会へのリアクションを取ったと明かした。その上で、ビエンナーレは「今後の対応策を検討し、しかるべき全ての管轄機関に対して自らの立場を主張するため、当該機関からの正式な実務上の連絡を待っている」として次のように続けている。

「前述の助成金による共同拠出割合はごくわずかであるため、ビエンナーレは予定通り継続されます」

(翻訳:石井佳子)

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