今週末に見たいアートイベントTOP5:デザインの巨匠ソットサスの大回顧展、SIDE COREら7作家が探る「ぬけみち」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

エットレ・ソットサス──魔法がはじまるとき、デザインは生まれる(アーティゾン美術館)より、展示風景 ©Yuya Furukawa

1. 出光真子 おんなのさくひん──ある映像作家の自伝(東京都写真美術館)

展示風景 撮影:中川周
展示風景 撮影:中川周
出光真子 《直前の過去》2004年 東京都写真美術館蔵 ©Mako Idemitsu撮影:中川周
出光真子 《加恵、女の子でしょ!》1996年 東京都写真美術館蔵 ©Mako Idemitsu 撮影:中川周

日本ビデオアートの先駆者を45作品で総覧

日本における実験映画とビデオアートの先駆者、出光真子(1940-)の大規模回顧展。1960年代に渡米した出光は、妻や母としての日常を出発点に、女性の生き方や家族、メディアと社会の関係を問い続けてきた。映像という当時では新しいメディアを用いながら、家庭やジェンダーをめぐる問題を鋭く見つめた作品群は、日本の映像表現史において重要な位置を占めている。近年はフェミニズムや身体をめぐる国際的な議論の高まりを背景に、その実践が改めて評価されている。

本展は東京都写真美術館が2016〜17年度に収蔵したフィルム、ビデオ、インスタレーション作品を軸に、全45作品を紹介。収蔵後初公開作品を含め、初期の実験映画から1970年代以降の代表作まで、半世紀以上に及ぶ創作の歩みを網羅する。タイトルは、出光の評価を決定づけた1973年の同名ビデオ作品《おんなのさくひん》に由来する。初期の実験映画から晩年のインスタレーションまで、日米を横断しながら映像表現の新たな地平を切り拓いてきた出光の軌跡を辿る。

出光真子 おんなのさくひん──ある映像作家の自伝
会期:6月18日(木)〜9月21日(月祝)
場所:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00〜18:00(木金は20:00、8月6日~28日の木金は21:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


2. エットレ・ソットサス──魔法がはじまるとき、デザインは生まれる(アーティゾン美術館)

「エットレ・ソットサス」展示風景 ©Yuya Furukawa
「エットレ・ソットサス」展示風景 ©Yuya Furukawa
「エットレ・ソットサス」展示風景 ©Yuya Furukawa
「エットレ・ソットサス」展示風景 ©Yuya Furukawa

「メンフィス」の巨匠、創造の原点をたどる

20世紀デザインを代表するイタリア人デザイナー、エットレ・ソットサス(1917-2007)の日本初となる大規模回顧展。ソットサスが活躍したオリベッティ社のプロダクトデザインや、1980年代に結成したデザイン集団「メンフィス」の活動を通じて、機能性や合理性だけではない、感情や遊び心を備えたデザインの可能性を切り開いたソットサスの創作を、初期から晩年まで一望する。

会場では、石橋財団が収集してきたソットサス作品112点に加え、関連作家の作品5点、資料25点を展示。家具や陶器、ガラス作品、ドローイング、写真など幅広い制作を通して、「デザインとは何か」という問いを生涯追い続けたソットサスの思想に光を当てる。「瀧口修造 書くことと描くこと」も同時開催。

エットレ・ソットサス──魔法がはじまるとき、デザインは生まれる
会期:6月23日(火)〜10月4日(日)
場所:アーティゾン美術館(東京都中央区京橋1-7-2)
時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(7月20日、9月21日を除く)、7月21日、9月24日


3. ウィリアム・モンク「Noon Day Night」(Pace ギャラリー)

© William Monk, courtesy Pace Gallery
ToLoLo studio Mayu Nakamura
© William Monk, courtesy Pace Gallery
ToLoLo studio Mayu Nakamura
© William Monk, courtesy Pace Gallery
ToLoLo studio Mayu Nakamura
© William Monk, courtesy Pace Gallery
ToLoLo studio Mayu Nakamura

現実と幻想の境界を漂う

ニューヨークを拠点に活動する画家、ウィリアム・モンクの日本初個展。古典映画やサイケデリック・ロック、自身の記憶や夢など多様なイメージを重ね合わせながら、現実とも幻想ともつかない半抽象的な風景を描いてきたモンク。近年は上海や南京などアジア各地の美術館で個展を開催し、国際的な注目を集めている。

本展では、2021年から2026年にかけてロンドンとニューヨークで制作された新作・近作を中心に展示する。タイトルの「Noon Day Night」は、皆既日食や火山灰によって昼間に突然暗闇が訪れる現象を意味し、作品全体を貫く曖昧な時間感覚を象徴している。色彩豊かな柱や煙の輪、「センティネル」と呼ばれる人物像など繰り返し現れるモチーフが、風景と心理空間の境界を揺さぶる独自の世界を立ち上げる。

ウィリアム・モンク「Noon Day Night」
会期:6月30日(火)〜8月16日(日)
場所:Pace ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1-2F)
時間:11:00~20:00(日曜は18:00〜20:00、それ以外は19:00〜20:00でアポイントメント制)
休館日:月曜


4. 佐藤雅晴「リアル≒アンリアル」(art cruise gallery by Baycrew's)

日常風景に潜む「現実の揺らぎ」を見つめる

映像と絵画のあいだを往還しながら独自の表現を切り拓いたアーティスト、佐藤雅晴(1973-2019)の展覧会。佐藤は、ビデオ映像を一コマずつ描き起こして再構成する「ロトスコープ」の手法を用い、街角や住宅街、室内といった何気ない日常の風景を、静かな違和感をまとった映像や絵画へと変換してきた。

本展では、ドイツ滞在中に制作した初期から晩年までの映像・平面作品を通して、佐藤が20年に渡って追究した表現の変遷をたどる。作品はいずれもロトスコープの効果により、現実とも幻想とも判断がつかないイメージをまとう。それらを通して佐藤は、「いま見えているものは、本当にここにあるのか」という問いをつきつける。

佐藤雅晴「リアル≒アンリアル」
会期:7月1日(水)〜8月23日(日)
場所:art cruise gallery by Baycrew's(東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F)
時間:11:00〜20:00(入場は30分前まで)
休館日:7月13・14日


5. ぬけみち展 かわす・つくる・ともにいる―生きるための回路(アーツ前橋)

dot architects + contact Gonzo「鉄道芸術祭 vol.10《GDP(Gonzo dot party)》」2020年/写真吉見崚
SIDE CORE《rode work ver. under city》2023年

鈴木哲生『かんじ こびとがつくるもじとことば』2025年/出版:アリス館
阿部航太×KINOミーティング「シネマポートレイト」(制作風景)2026年

世界の見方を少し変える、7つの視点

社会の閉塞感や将来への不安が広がる時代に、「ぬけみち」という視点から現実との新たな関わり方を探るグループ展。「ぬけみち」とは現実から逃避することではなく、身近な環境や他者との関係を少しずらして見つめ直し、新たな可能性を切り開くための実践を意味する。建築やファッション、デザイン、ストリートカルチャー、現代アートなど、領域を横断する7組の作家が、それぞれの方法で社会との接点を提示する。

参加作家は、SIDE CORE、ドットアーキテクツ、高野ユリカ、坂本舞ニルセン、阿部航太、鈴木哲生、三野新&山本卓卓。多様な表現を通して、都市や公共空間、他者との関係性を問い直す。会期中には、ドットアーキテクツによる参加型ワークショップ「アーキジム前橋版」も開催され、地域の職人とともに「つくること」を通じた実践も展開される。

ぬけみち展 かわす・つくる・ともにいる―生きるための回路
会期:7月4日(土)〜8月30日(日)
場所:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:水曜

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