数億円相当の中国絵画を7000円で売却? 売買取り消しを求め遺族が遺品整理業者を提訴

アメリカ・オレゴン州のエステートセールで、中国絵画が1点45ドル(約7000円)で売却された。作品を所有していた遺族は、実際には数億円規模の価値がある可能性があるとして、売買の取り消しを求めている。

2012年に中国で開催されたオークションの下見会に展示されている徐悲鴻の作品。Photo by Lintao Zhang/Getty Images

Google 画像検索は、キーワードを入力したり、画像をアップロードすることで、目の前のものに近い画像や関連情報を探せる便利なツールとして広く使われている。しかし、アメリカ・オレゴン州で提起された訴訟では、エステートセールに出品された中国絵画の真の価値までは見抜けなかったようだ。

訴えられているのは、エステートセールの専門業者、マーブル・ロード・エステート・セールズだ。同社は、亡き母の遺品整理を進めていたジョン・E・ムーディから依頼を受けた際、2つのチェストに入った衣服や織物の下から中国の掛軸や拓本などを発見したという。訴状によれば、これらの作品は遺品目録に記載されておらず、遺族はすでに売却、寄付、あるいは紛失されたものだと考えていた。

ところがマーブル・ロード・エステート・セールズは、Google 画像検索だけで作品を査定し、遺族の了承を得ないまま1点45〜275ドル(約7000〜4万5000円)で販売したとされている。ムーディは、遺品のなかには数千から数百万ドル(約数十万〜数億円)の価値があるものも含まれていたと主張し、売買の取り消しを求めている。

裁判文書によると、見つかった作品のいくつかは、中国で最も著名な近代画家のひとりである徐悲鴻が手がけた可能性があるという。なかでも、走る馬の姿を描いた掛軸は徐の真作とみられている。徐の絵画はオークションで高額取引されており、2011年には2億6680万元(現在の為替レートで約63億7500万円)で落札された例もある。また、オークションデータベースのARTDAIによれば、徐の作品はこれまで390万〜9200万ドル(同約6億3000万〜150億円)の間で取引されているという。

ムーディによれば、これらの作品は外交官として中国に赴任していた父が現地で収集したものだという。今回の訴訟で彼が求めているのは、マーブル・ロード・エステート・セールズへの損害賠償ではなく、購入者たちに美術品の返還を命じることだ。訴状には、購入者のなかには中国美術に精通したコレクターやディーラーも含まれており、掛軸の価値を見抜いたうえで、買える限りの作品を買い占めたと記されている。

被告の一人であるチャンニン・チャーリー・ホアンは、地元紙オレゴニアンに対し、掛軸はひとつも購入していないと説明。そのうえで、価格設定の誤りを理由に遺族が返還を求めることに疑問を投げかけている。

「お店で何かを購入した際に『付けた値段が誤っていましたので返してください』と言われても、断るのが当たり前だと思いませんか」

この訴訟は、エステートセールという遺品整理の場に、普段はあまり問われない問題を投げかけている。そもそもエステートセールとは、まだ見ぬ宝物がどこかに眠っているかもしれないという期待感の上に成り立っている。買い手たちが並べられた商品や段ボール箱を丹念にあさるのも、売り手が見落とした思わぬ掘り出し物に出合えるかもしれないからだ。一方で今回の訴訟では、売り手側の見落としや不十分な査定によって価値ある品が極端に安く売られた場合に、その取引をどこまで有効とみなせるのかが争点となっている。

実際、安価に手に入れた品が高額作品と判明した例は過去にもある。2024年には、不用品セールで大学生が2ドル(約300円)で購入したオイルパステル画がマルク・シャガールの作品とわかり、2万ドル(当時の為替で約300万円)の評価額がついた。また、今年6月には、1960年代にリサイクルショップで100ドル(現在の為替レートで約1万6000円)足らずで購入された絵画が、18万9200ポンド(約4100万円)で落札されている。(翻訳:編集部)

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