小池一子×中村政人が馬喰町で新プロジェクトスタート。創造拠点「アートベース/偶然はない。」が誕生
東京・馬喰町/東神田エリアで、アートを軸に街の新たな価値創出を目指す地域構想「馬喰クラート(Bakuro Curart)」が始動する。その中核拠点となる創造施設「アートベース/偶然はない。」が7月7日にプレオープン。展示や制作、食、学びが交わる新たな文化拠点を目指す。

合同会社コマンドA(代表社員:小池一子、ディレクター:中村政人)と株式会社エトワール海渡が、東京・馬喰町/東神田エリアで新たな地域構想「馬喰クラート(Bakuro Curart)」を始動する。
「日本橋の『小さな街』を回遊し、新発見を」
舞台となる馬喰町・東神田エリアは、江戸時代には旅宿や商いで栄え、近代以降は問屋街として商業と生活文化を育んできた地域だ。また、東京の東側では、小池一子が立ち上げた「佐賀町エキジビット・スペース」や「Central East Tokyo」、中村政人が手がけた「3331 Arts Chiyoda」、東京ビエンナーレなど、既存の枠組みにとらわれない実験的な場づくりが積み重ねられてきた。
馬喰クラートでは、エリアに点在するさまざまな場所で展示やワークショップ、食、学び、制作の場が展開され、人々が回遊することで多様な感性が息づく街を育むことを目指す。7月6日に行われた記者発表会でエトワール海渡の早川謹之助社長は、「都市の利便性が高まるにつれ、どこへ行っても同じ店や同じ体験が用意され、新しい発見を得にくくなっています。日本橋の馬喰町や横山町、人形町は、平均250メートル四方ほどの小さな街で構成され、それぞれ個性を持っています。連なる街を歩きながら新しい発見を楽しめることが、この地域の魅力です」と語った。
「馬喰クラート」という名称は、同プロジェクトのクリエイティブディレクターを務める小池一子が考案したもの。「クラート(Curart)」は、キュレーション(curation)、アート(art)、クラフト(craft)、好奇心(curiosity)を組み合わせた造語だ。小池は同プロジェクトについて、「街に根付く美術の現場を、自ら参加しながら築いていきたい。この場所に導かれたことをうれしく思っています。ここから新しい時代の美術の価値が生まれていく、その希望の礎を実感しています」と話した。
アートを創り、観、体験する新拠点
その最初の中核拠点として、馬喰町にあるエトワール海渡旧商品部ビルをリノベーションした「アートベース/偶然はない。」が7月7日にプレオープンする。
「アートベース/偶然はない。」は、地下2階・地上7階からなる。2・3階には、アーティストやクリエイター、企業が365日24時間利用できるスタジオを整備し、一部ではスポンサーが利用料を負担するパトロネージ制度を導入する。4階にはコマーシャルギャラリーが集まる「ギャラリーコモンズ」、5階には東京藝術大学芸術未来研究場のアート×ビジネス領域のプロジェクトスペースが入居。地下1階はパフォーミングアーツの練習スタジオ、地下2階は作品や展示什器などを保管できるレンタル倉庫となる。全フロアのグランドオープンは2026年10月下旬を予定している。
7月7日にオープンするのは1階部分。路面に面した誰もが気軽に立ち寄れるオープンスペースで、カフェ&クラフトフーズ「マリシャック」、展示スペース「ギャラリー偶然はない。」、工作機械や大型プリンターを備えた「ものづくり&デジタル工房」などが併設される。
施設名は、ディレクターの中村政人が1990年代に立ち上げたプロジェクトに由来する。中村は、約46億年前に地球が誕生した際、太陽との絶妙な距離という必然が生命を育んだことを例に挙げ、「人は、見えていなかった因果関係が明らかになった瞬間、それを偶然と認識します。アート制作も、見えていない因果関係を可視化する営みです。それは一人では難しいこともありますが、こうした拠点があることで偶然を呼び起こすスイッチが入り、新たな創造性が生まれるのではないでしょうか」と語った。
1階壁面には、美術家・藤浩志によるコミッションワーク《Reincarnation》を常設する。アートプロジェクト「かえっこ」で集まった使われなくなったおもちゃを、地域住民やエトワール海渡の社員とともにアートへと生まれ変わらせた作品だ。作品の近くには、不要になったおもちゃや廃棄される布を素材に創作を行うワークショップスペース「かえるラボ」も設けられる。
また、建物1階の外壁には、ハングル・タイポグラフィの新たな地平を切り開き、2007年にライプツィヒ・グーテンベルク賞を受賞した韓国のタイポグラフィックアーティスト、安尚秀(アン・サンス)による壁画が描かれている。
親子で楽しめる関連企画も
プレオープンに合わせた関連企画も充実している。7月7日から8月10日まで、「ギャラリー偶然はない。」では、池田晶紀、猪瀬直哉、O JUN、木村博行、栗原良彰、小山田徹、崔聡子、佐々木浩一、佐藤直樹、宍戸遊美、Jesse Freeman、鈴木真梧、SEMBLE、高橋和暉、高嶺格、中村政人らコマンドAゆかりの20人以上のアーティストが参加する「3331シークレットオークション展」(全3回)を開催。藤浩志によるアートプロジェクト「かえっこバザール」は7月12日、8月9日、9月13日に実施される。さらに、夏休み期間(7月24日〜8月30日)には、現役アーティストや東京藝術大学の講師陣による子ども向けワークショッププログラム「3331夏のこども芸術学校」が開講される予定だ。
アートベース / 偶然はない。
住所:東京都千代田区東神田1丁目13-3
プレオープン:7月7日(火)※グランドオープンは2026年10月下旬を予定
時間:11:00~18:00※カフェは11:00~14:00、17:00~22:00











