トランプ政権、スミソニアン予算を大幅削減へ。過去10年で最低水準、常勤職員6%減
2027会計年度の連邦予算をめぐり、トランプ政権がスミソニアンに過去10年で最低水準の予算額を示した。展示方針が「反アメリカ的」だと批判する政権側は、これまで同協会に何度も圧力を加えてきており、予算案についても厳しい態度が予想されていた。

トランプ政権は、複数の公立博物館を運営するスミソニアン協会の2027年度予算に、9億6130万ドル(最近の為替レートで約1519億円、以下同)の連邦資金を割り当てる案を提示した。これは、合衆国議会が承認した2026会計年度予算10億8000万ドル(約1706億円)の約11%減に相当し、少なくとも2020年以降では最低の水準となっている。
削減の影響が最も大きいのは施設関連支出で、提示された案では2026会計年度の1億5200万ドル(約240億円)から1億2000万ドル(約190億円)に約21%削減された。これはスミソニアン全体の予算に占める同支出の割合が約7分の1から約8分の1に低下することを意味する。また、給与および運営費に8億4130万ドル(約1330億円)、施設および大規模な長期的プロジェクトには1億2000万ドル(約190億円)が充てられている。
政権側の案によると、給与・運営費予算は2026年度の9億2850万ドル(約1467億円)から、2027年度は8億4130万ドル(約1330億円)へ8720万ドル(約138億円)削減される。これによって、連邦予算で賄われるスミソニアンの職員は4047人(フルタイム換算)から3804人へと約6%削減されることになる。
一方、4月に連邦議会へ提出されたスミソニアンの2027年度予算説明書では、次のように述べられている。
「スミソニアン史上、全機関を挙げて全米規模の資金調達キャンペーンが行われたのは今回が2回目です。これは、私たちの目標の達成に貢献しています。しかし、寄付者は当然のことながら、連邦政府の支援に大きく依存している人員、維持管理、運営といった継続的な予算ニーズよりも、新しい博物館の開館や展覧会などに関心を示す傾向があります。つまり、連邦政府からの資金援助があってこそ、私たちは遺産を保存し、一般市民に奉仕し、将来に向けて責任ある計画を立てることができるのです」
US版ARTnewsは、スミソニアンにコメントを求めている。
歴史解釈をめぐるスミソニアンへの継続的な圧力
トランプ大統領は、自らが「反アメリカ的」と見なす歴史解釈への政権による対抗策の一環として、この数カ月スミソニアン博物館を標的に圧力を加えてきた。7月には、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立アメリカ歴史博物館のプログラムや展示を「極端な政治的活動」であると非難したホワイトハウスの報告書を巡って、同博物館のアンシア・M・ハーティグ館長が、2回にわたり議会公聴会に臨んでいる。
物議を醸したこの公聴会で、複数の共和党議員は、特にトランスジェンダーやフェミニズムに焦点を当てたアメリカの歴史の展示についてハーティグ館長に質問を浴びせ、中にはその愛国心に疑問を呈する声もあった。しかしハーティグ館長は、博物館の学術的取り組みは「事実に基づく」ものであると主張し、「対立する視点」を通じてアメリカの複雑な歴史を伝えることに尽力していると証言した。
公聴会後にホワイトハウスは、報告書で「改訂すべき」とされた展示内容に含まれる「不正確な情報」を示すため、国立アメリカ歴史博物館の外に案内板を設置するよう命じる指示を発表した。この案内板はまた、同館の来場者を、政権側が「より正確にアメリカの歴史を紹介している」とする場所(現時点では特定されていない)へ誘導するものだとされた。さらに、内務長官や行政管理予算局長を含む複数の政府高官に対し、「スミソニアン協会への信頼を回復する」とともに、同協会がホワイトハウスの調査結果に従うことを確実にするよう求めている。
第2次トランプ政権ではすでに、全米芸術基金、全米人文科学基金および国立公園局に対する大幅な予算削減案が提示されており、そこには政権側が「WOKE(ウォーク)」(*1)と位置づけた団体への助成金取り消しも含まれている。一方、政府が提出した2027年度の予算案では、国防費の要求額を44%増の1兆5000億ドル(237兆円)とすることが示されており、国家安全保障と文化機関に割り当てられる連邦資金の格差拡大が浮き彫りになっている。(翻訳:石井佳子)
*1 WOKE(ウォーク)は「目覚めた」の意。マイノリティの権利拡大や環境保護運動などで、社会正義を追求しようとする急進的な活動家を批判する際などに用いられる。
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