仏動物園から盗まれた19世紀のブロンズ像、約30年ぶりにアメリカで発見。「希望を与える回収事例」

約30年前、フランスの動物園から盗まれた重さ約136キロのブロンズ彫刻が、アメリカのオークションカタログで発見された。19世紀に制作された国有作品で、返還後はアミアンのピカルディ美術館で展示されている。

アルフレッド・ルペール《狩人のファウヌス》(1863)Photo: Gauthier Gillmann/Courtesy Musée de Picardie

約30年前にフランスの動物園から夜間に盗まれた19世紀のブロンズ彫刻が、アメリカで発見された。作品はフランスへ返還され、現在は北部アミアンのピカルディ美術館で展示されている。

ロンドンを拠点に盗難美術品のデータベースを運営するアート・ロス・レジスター(Art Loss Register、以下ALR)の発表によると、作品はアルフレッド・ルペール(1827–1904)による《狩人のファウヌス(Faune Chasseur)》だ。ALRの顧客であるオークション会社が売却前の調査を行ったところ、盗難品であることが判明した。

同作は1863年にフランス政府が制作を依頼したもので、現在も国が所有している。国立造形芸術センター(Centre national des arts plastiques、CNAP)が管理する国有コレクションに登録され、かつてはアミアン動物園で展示されていたが、1993年に盗まれて以降、重さ約136キログラムに及ぶ大型作品であるにもかかわらず行方が分からなくなっていた。そしてこのほど、盗難現場から約6400キロメートル以上離れたアメリカで、オークションカタログに掲載されているのが見つかったという。

ALRの事業開発・顧客担当マネージャー、シャーロット・チェンバーズ=ファラーは、発見の経緯を次のように説明している。

「オークション会社にとって、来歴に問題があることを示す明白な兆候はありませんでした。しかし、作品を私たちの世界規模のデータベースと照合したことで、売却される前に、その知られざる過去を突き止めることができました」

さらに、今回の返還が美術市場における来歴調査の重要性を示すものだとして、こう続けた。

「この貴重な彫刻の回収は、美術市場において徹底したデューデリジェンス(取引前の調査)がいかに重要かを示しています。盗難作品は個人の手に渡り、数十年にわたって行方が分からなくなることがあるからです」

近年、ルーブル美術館での事件をはじめ、世界各地の文化施設で美術品を狙った犯罪が相次いでいる。チェンバーズ=ファラーは、公共施設から、素材そのものの価値を目的に美術品を盗み出す犯罪が再び増えていると指摘。そのうえで、「長期間行方不明になっているからといって、必ずしもスクラップとして溶かされてしまったとは限りません。今回の回収は、希望を与えてくれる事例です」と語った。(翻訳:編集部)

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