ベルリンで開催中のマウリツィオ・カテラン展、注目作品6選(本人による解説付き!)
壁にバナナを貼り付けた《Comedian》など、物議を醸す作品で知られるマウリツィオ・カテランの展覧会が、ベルリンの新国立美術館で開催中だ。ひざまずくヒトラー像などの代表作や新作からなる展示作品から、カテラン自身によるキャプションとともに6作品を紹介する。
壁にダクトテープでバナナを貼り付けた《Comedian》(2019)など、挑発的な作品で知られるアーティスト、マウリツィオ・カテランの展覧会が、ベルリンの新国立美術館(Neue Nationalgalerie)で開催中だ。カテランはこれまでも、例えばグッゲンハイム美術館での回顧展では自身の作品をロープで吊るして吹き抜けに並べるなど、奇抜な展示方法でもたびたび観客を驚かせてきた。今回の展覧会も、その例に漏れず型破りな内容となっている。
展覧会の成り立ちも一風変わっている。イタリアのパドヴァで生まれ、現在はニューヨークとミラノを拠点に活動するカテランは今年、ベルリンの国立美術館群が主催する現代美術の賞「ナショナルギャラリー賞(Preis der Nationalgalerie)」を受賞した。この賞は歴史的にベルリンと何らかのつながりを持つアーティストに授与されてきたため、カテランの選出には戸惑いの声も上がった。一方、新国立美術館側は、彼が2006年のベルリン・ビエンナーレで共同キュレーターを務めたことを、その理由の一つとして挙げている。
館長のクラウス・ビーゼンバッハとカテラン本人の協力のもと、リサ・ボッティがキュレーションを担当した本展のタイトルは「NIGHT」。冒頭で触れたバナナの作品は出品されていないが、ひざまずくヒトラーをかたどり、発表時に大きな論争を呼んだ《Him》(2001)などの代表作を見ることができる。さらに、ベルリンのブランデンブルク門を縮小した作品や、人間の遺灰を詰めた消火器の新作《Dust》(2026)も展示されている。
「新国立美術館には、そのスケールや対称性、静寂さ、そして日常からの距離感といった、すでに儀式的な何かが備わっています。私はこの空間を、中央の身廊や側廊があり、いくつもの存在が連なる現代の教会のようなものとして想像しました」
以下では、カテランが本展のために寄せた作品解説とともに、展覧会風景を紹介する。
《Never》(2003)

「ドラマーが美術館の屋上でドラムを叩き続けている。何かを告げているのかもしれないし、何のためだったのかも忘れられた動作を、ただ繰り返しているのかもしれない。ただ続けているのか、それともやめることを拒んでいるのか、その違いを見分けるのは難しい」
《People》(2026)

「何百羽もの鳩が、来場者の頭上にある天井を占拠している。目に見えるものも、見えないものも、許可など求めずに美術館に居続ける。私たちが見て見ぬふりをしている人々も、決して完全に姿を消すことはない」
《Purgatory》(2026)

「美術館の中に再現された、縮小されたブランデンブルク門。モニュメントは、歴史と不確実性のあいだにある境界となる。どんな入り口にも、何らかの判断が含まれている」
《Him》(2001)

「ひざまずく子どものような人物像が、アドルフ・ヒトラーの顔を見せる。歴史上の恐怖が、無防備で、祈りを捧げているような、ほとんど無害にも見える姿で現れる。悪がもっとも危険なのは、同情を求めるときだ」
《After》(2026)

「小さな犬が、大きな工業用の管の中で眠っている。何かを通すためにつくられた構造物が、思いがけず身を寄せる場所に変わる。生き延びることは、世界に別の役割を与えることから始まるのだ」
《We》(2010)

「まったく同じ二つの人物像が、同じベッドに並んで横たわっている。そこから浮かび上がるのは、寄り添うこと、対立すること、そして一人の人間のなかに共存する二つの自己だ。たとえ周りに誰もいなくても、私たちはめったに完全な孤独にはならない」
(翻訳:編集部)
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