トランプ政権が博物館に「警告」掲示を計画──スミソニアンの歴史展示に新たな圧力
ドナルド・トランプ米大統領がスミソニアン協会への介入姿勢をさらに強めている。第2次政権の発足以来、大統領は同協会が「反米的」だと事あるごとに非難を重ね、資金面でもさまざまな圧力を加えてきた。そんな中、内務長官の書簡で明らかになったのが、展示内容への「警告」を記した掲示板の設置計画だ。

トランプ政権が、スミソニアン協会の各展示施設の入り口に掲示板を設置する計画を進めている。中でも早期の設置対象となっているのは、国立アメリカ歴史博物館(NMAH)だ。掲示板は来館者に対し、アメリカを否定的に扱う「イデオロギー主導の展示」だと同政権が考える内容についての警告を行うものとされる。
公共ラジオ局NPRのニュースサイトよると、ダグ・バーガム内務長官はリサ・マーカウスキーおよびジェフ・マークリー両上院議員に宛てた9月3日付の書簡で、「透明性へのコミットメント」と「学術的誠実さ」により、博物館の外に警告のための掲示板を設置せざるを得なくなったと伝えた。両議員はスミソニアンの予算を管轄する上院歳出委員会に、有力メンバーとして名を連ねている。
同書簡によると、設置される掲示板は12枚程度で、費用は1枚あたり7000ドル(約110万円)、総額で約8万4000ドル(約1320万円)。そこには、「スミソニアンおよびNMAHの幹部が、博物館の役割を『アメリカの物語を正確かつ一貫性をもって伝えること』から『個人的かつ急進的なイデオロギーを推進するためのツールとして利用すること』に変質させてしまった」点が記されるという(US版ARTnewsでは同書簡の内容を確認していない)。
これについては、先にアトランティック誌も報じている。同誌の記事によると、バーガム内務長官の書簡には、「掲示板は来館者がこれから目にする展示物や、その展示のキュレーターが提示しようとしている個人的な視点について重要な背景情報を提供する」と書かれていた。しかし、この計画に詳しい人物は、「実際に案内板に何が書かれるのか、誰がその文章を作成しているのかは、制作に携わる人々の間ですら謎だ」と語っている。
同書簡はまた、NMAHのアンセア・ハーティグ館長が、歴史は「社会正義の主要なツール」だと述べたことを不服とし、NMAHが「不法移民や国境開放を正当化しようとしている」と主張。それに加え、「性別は二元的なものではないという思想を含め、生物学と矛盾するイデオロギー的見解を示す」展示を非難しているとNPRは伝えた。
さらに、9月8日に退任を発表したスミソニアン協会の事務局長ロニー・G・バンチ3世が、「これまで不快な差別心や白人に対する敵意を抱いてきた」との批判も同書簡では述べられているという。一方、マークリー上院議員はNPRのメール取材にこう答えた。
「これは、スミソニアン協会の公正さと独立性を損なうことを目的とした、トランプ政権の周到な計画による新たな圧力です。スミソニアン協会の独立性を守るため、私はとことん闘うつもりです。同協会が今後何世代にもわたり、アメリカのあらゆる物語を語り続けられるように」
第2次政権の任期開始早々、トランプ大統領はスミソニアン協会を標的に定め、就任から2カ月後の2025年3月には「アメリカの歴史に真実と良識を取り戻す」と題した大統領令を発令。同協会に対し、展示内容から「分断を招く」ものや「反米的」なものの排除、そして2020年以降に公共の場から撤去された「記念碑、追悼施設、彫像、銘板」を元に戻すことを命じた。
大統領は今月初めにも、ワシントンD.C.のNMAHの敷地内にある「モダニズムの奇妙な彫刻」(ホセ・デ・リベラによる1967年の作品)を撤去し、代わりに高さ9メートルのジョージ・ワシントン像を設置するよう要求している。(翻訳:石井佳子)
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