金沢21世紀美術館、長期休館を前にエルメスと特別プログラムを開催。「作品の継承」を問い直す

2027年5月から長期休館に入る金沢21世紀美術館が、エルメスジャポンと共同でワークショップとシンポジウムを開催する。現代美術作品を未来へどう受け継ぐのか、保存修復やものづくりの視点から考える。

Photo: Courtesy of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
Photo: Courtesy of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

金沢21世紀美術館では、長期休館前の最後の展覧会「今日から明日へ 作品を継承すること」が10月31日から開幕する(2027年4月18日まで)。その関連プログラムとして、エルメスジャポンとともに、ワークショップとシンポジウム「壊れていくもの、継承していくもの」を11月に開催する予定だ。

展覧会「今日から明日へ 作品を継承すること」は、2004年の開館以来の歩みを振り返り、作品を未来へどう残していくのかという問いに向き合う。同館が収集してきた4000点超のコレクションのうち、保存・修復や展示方法の検討を要する作品を中心に取り上げる。コレクションには絵画や彫刻に加え、メディアアート、観客の参加や上演によって成立する作品なども含まれ、素材の経年変化や機材の旧式化、展示環境の変化など、その継承には多くの不確実性が伴う。こうした継承のあり方を考える上で一例となるのが、宮永愛子の《waiting for awakening -chair-》(2012)だ。素材のナフタリンが昇華し、次第に形を失っていくこの作品は、元の状態を保つことだけではないという作品の継承のあり方を考える。

本企画は、エルメスジャポンと金沢21世紀美術館が2024年から続けてきた協働を発展させたものだ。両者はこれまで、能登への支援や、アートを介した職人の技術と手仕事の継承に取り組んできた。こうした活動を踏まえ、今回は展覧会で掲げられた作品の修復と継承という問いを、アート、保存修復、ものづくりの視点から掘り下げる。

第1部のワークショップは、保存修復を手がかりに「作品を未来へ継承するために、何を残し、どのような変化を受け入れるのか」を考える内容だ。キュレーターズツアーとグループワークの2部構成で、専門知識の有無を問わず18歳以上であれば参加できる。11月1日または8日に同館で行われるキュレーターズツアーでは、保存修復の観点から展示作品を鑑賞し、継承について考えたい作品を参加者がそれぞれ選ぶ。続く11月13日には金沢美術工芸大学でグループワークを実施。参加者が持ち寄った考えをもとに、保存に困難が伴う作品や、現状を維持することを目的としていない作品が抱える課題について議論する。その後、各グループが1作品を選んで議論の内容を発表し、修復家で京都大学准教授の田口かおりがコメントを寄せる。

11月14日には、第2部のシンポジウムが金沢21世紀美術館で開催される。登壇するのは、修復家の田口かおり、彫刻の保存修復に携わりながら制作も行うアーティストの髙橋銑、インストーラーの有元利彦、アーティストの野村大輔、エルメスジャポン取締役会長の有賀昌男、金沢21世紀美術館館長の鷲田めるろの6人。ミクスト・メディアやメディアアート、インスタレーションなど、従来の保存修復の枠組みでは捉えきれない現代美術作品をどのように未来へ継承するのかについて議論する。モデレーターは同館学芸課長の角奈緒子が務める。なお、髙橋は本展のゲストアーティストとしても新作を発表する。さらにシンポジウムでは、エミール・エルメス・コレクションとスカーフのものづくりを通して、エルメスが受け継いできた修復と継承の思想が紹介される。

「壊れていくもの、継承していくもの」

第1部 ワークショップ
・キュレーターズツアー
 2026年11月1日(日)・8日(日)16:00〜18:00 ※いずれかの日程に参加
 会場:金沢21世紀美術館
・グループワーク
 2026年11月13日(金)17:30〜19:00
 会場:金沢美術工芸大学
・対象:18歳以上
・定員:24名(応募多数の場合は抽選)
・応募締切:2026年10月20日(火)13:00
応募フォームはこちら。

第2部 シンポジウム
・日時:2026年11月14日(土)14:00〜16:30(開場13:30)
・会場:金沢21世紀美術館 シアター21
・料金:無料(予約不要/満席時は入場不可の場合あり)
・登壇者:田口かおり、髙橋銑、有元利彦、野村大輔、有賀昌男、鷲田めるろ、角奈緒子(モデレーター)

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