盗まれたルノワールの絵画を「住宅の壁の裏」で発見。6人が逮捕、カンバスには裂け目も

南フランスのルノワール美術館から盗まれた絵画2点が、約1カ月ぶりに回収された。作品は住宅のコンクリートブロック壁の裏に隠されていた。事件に関連して6人が逮捕され、地元市長は作品の発見に安堵を示している。

カーニュ=シュル=メールにあるルノワール美術館館内の様子。Photo: Emmanuel VALENTIN/Gamma-Rapho via Getty Images

南フランスのカーニュ=シュル=メール市にあるルノワール美術館から盗まれた絵画2点が、フランスの捜査当局によって回収された。

同館は、オーギュスト・ルノワール(1841-1919)が晩年を過ごした住居を美術館にした施設で、絵画や彫刻、家具などを公開している。事件前には、ルノワールの絵画12点が展示されていたと報じられている。

事件が起きたのは9月8日早朝。窃盗犯はルノワールの絵画4点を持ち出し、このうち《コロンナ・ロマーノ夫人の肖像(Portrait de Madame Colonna Romano)》(1913頃)と《井戸端の若い女性(Jeune femme au puits)》(1886頃)を持ち去った。一方、《スティーヴン・ピション夫人の肖像(Portrait de Madame Stephen Pichon)》(1895頃)と《読書するココ(Coco lisant)》(1905頃)の2点は、逃走時に置き去りにされた。4点の評価額は、計900万ユーロ(約16億円)とされていた。

ルノワール《マダム・コロンナ・ロマーノの肖像》(1913頃)Photo: Wikimedia commons
ルノワール《井戸端の若い女性》(1886頃)Photo: Wikimedia commons

同市の市長、ブライアン・マソンは事件当時、「ルノワール美術館への攻撃は、カーニュ=シュル=メールの歴史と文化遺産の一部に対する攻撃です」と述べた。また、窃盗犯は「電動ナイフ」か「金属用のこぎり」を使い、絵画を壁に固定していたボルトを切断したという。

アイルランドの公共放送RTÉによると、その後10月7日に6人が逮捕された。マルセイユの検事ニコラ・ベッソンはパリで記者団に対し、8日に南フランスのクレルモン=レローにある住宅を捜索した結果、絵画を回収したと説明した。

ベッソンは、発見時の状況と捜査の経緯を次のように語った。

「絵画は頑丈なコンクリートブロックの壁の裏に隠されており、外からは全く見つけられない状態でした。捜査員による取り調べの結果、容疑者が実際に絵画を受け取っていたことを認めたのです」

回収された2点は「比較的良好な状態」だったものの、いずれにも損傷が見られた。《井戸端の若い女性》は額縁に軽微な傷があり、《コロンナ・ロマーノ夫人の肖像》は、ドレスが描かれた部分のカンバスに裂け目があった。ベッソンによれば、2点とも修復が必要だという。

作品の回収を受け、マソン市長は声明で次のように述べた。

「この2点の絵画は、単なる美術作品ではありません。私たちの街の歴史と文化遺産の一部であり、オーギュスト・ルノワールがカーニュ=シュル=メールに残した遺産なのです。作品が見つかったことは、市民の皆さん、そして美術館を大切に思う全ての人にとって、大きな安堵をもたらしました」

一方、ロンドンのナショナル・ギャラリーでは現在、ルノワールの絵画40点を集めた大規模展「Renoir and Love」が開催されている。会期は2027年1月31日まで。(翻訳:編集部)

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