武装強盗に奪われたマティスの版画8点を回収──ブラジル・サンパウロの集合住宅で発見

2025年にブラジル・サンパウロの図書館に武装した男2人が押し入り、マティスらの作品を強奪した。警察は8月13日、約19万3000ドル(約3070万円)超の版画8点を回収したと発表した。

マリオ・デ・アンドラーデ図書館で公開されている、回収されたマティスの「ジャズ」シリーズ8点。Photo: Nelson Almeida / AFP via Getty Images

2025年12月、ブラジル・サンパウロ中心部にあるマリオ・デ・アンドラーデ図書館から美術品が盗まれた事件で、ブラジル警察は8月13日、アンリ・マティスの版画8点を回収したと発表した。

事件が起きたのは12月7日。同館の創立100周年を記念した展覧会「本から美術館へ:MAMサンパウロとマリオ・デ・アンドラーデ図書館(From Book to Museum: MAM São Paulo and the Mário de Andrade Library)」の最終日だった

警察の広報担当者がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、一般開館中に武装した男2人が押し入り、警備員1人と来館者2人を制圧して作品を奪った。防犯カメラには、額装された作品を抱えてサンパウロ市内を歩く男たちの姿が映っていた。同紙によると、男の1人が額の束を歩道のごみの山のそばにいったん置き、その後、戻って回収する様子も記録されていたという。

盗まれたのは、アンリ・マティスの代表的な挿絵本《Jazz》(1947)に収録された版画《道化師》《サーカス》《ムッシュ・ロワイヤル》《白い象の悪夢》《コドマ兄弟》《水槽の泳者》《剣を呑む男》《カウボーイ》の8点。評価額は計100万ブラジルレアル(約19万3000ドル/約3070万円)を超える。さらに、ブラジル・モダニズムを代表する画家カンディド・ポルチナーリの版画5点も持ち去られた。

捜査の結果、マティスの8点は、サンパウロ郊外のサン・ベルナルド・ド・カンポにある集合住宅の一室で発見された。警察は現場にいた1人を盗品収受の疑いで逮捕した。事件翌日には別の容疑者1人を拘束。すでに2026年4月には、別の美術品盗難事件に関連して、今回の事件にも関与したとされる男女2人を逮捕しており、このうち男は犯行の首謀者とみられている。今回の逮捕で、事件に関連して身柄を拘束された人物は計4人となった。一方、ポルチナーリの版画5点は今も見つかっていない。

サンパウロ市文化・クリエイティブ経済局長のトト・パレンテは、作品の回収について声明で次のように述べた。

「この8点が回収されたことは、サンパウロの文化と文化遺産にとって極めて重要なニュースです。これらは市の所有物であり、サンパウロ市民の記憶を形づくる作品でもあります」

同局は事件後、マリオ・デ・アンドラーデ図書館の警備体制を強化し、所蔵品の保護を拡充する措置を講じたという。パレンテは、「公共の文化遺産、そして都市の記憶の一部として作品を保存し、再び文化的な役割を果たせるようにすることが私たちの責務です」と付け加えた。

マティス作品の回収が発表された翌日には、ヨーロッパでも盗難美術品をめぐる大規模捜査が進展した。イタリア当局は、マニャーニ・ロッカ財団から盗まれたマティスの紙作品《テラスのオダリスク》(1922)、ピエール=オーギュスト・ルノワールの《魚》(1917)、ポール・セザンヌの《サクランボのある静物》(1890)の3点を回収。わずか3分間の犯行で持ち去られた3点の評価額は、計1040万ドル(約16億5400万円)を超える。(翻訳:編集部)

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