デヴィッド・ボウイがダンス作品に。鬼才マルコス・モラウ演出、2029年に東京公演決定
デヴィッド・ボウイの音楽と芸術性をテーマにした新作ダンス作品『ダンス・フォー・ボウイ』の国際共同制作が発表された。演出・振付は三島由紀夫『金閣寺』舞台化も手がけたマルコス・モラウ。ボウイ本人の歌声を使用し、「変身と再生」の創造性を身体表現へと昇華させる。

デヴィッド・ボウイの芸術世界をダンスで表現する新作『ダンス・フォー・ボウイ(SUBJECT TO CHANGE - A Dance for David Bowie)』が2029年初東京で上演される。Bunkamura、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ、スペインのダンスカンパニー、ラ・ヴェロナルによる国際共同制作。
演出・振付を手がけるのは、スペイン出身の振付家マルコス・モラウ。2026年夏には三島由紀夫の小説『金閣寺』を舞台化し、文楽や歌舞伎、日本の伝統音楽と現代ダンスを融合させた作品で注目を集めた。新作は2028年春にルクセンブルク市立劇場で世界初演を迎え、同年秋にはロンドンのサドラーズ・ウェルズで英国初演、2029年春には東京でアジア初演が予定されている。

本作が描くのは、ボウイの生涯をたどる伝記的な物語ではない。モラウが着目したのは、ボウイがそのキャリアを通じて繰り返した「変身」と「再生」だ。
ジギー・スターダスト、アラジン・セイン、ハロウィン・ジャック、シン・ホワイト・デューク。ボウイは次々と異なるペルソナを生み出し、音楽だけでなく、ファッションや身体、アイデンティティまでも変化させながら、新たな表現を切り拓いてきた。原題の「SUBJECT TO CHANGE」には、「変更される可能性がある」「まだ決まった形ではない」という意味が込められている。
モラウはボウイについて、「芸術的な転生」を繰り返したアーティストだったと語る。ひとつのペルソナを終わらせることで次の存在を生み出し、その最後の変容が、死の直前に発表されたアルバム『ブラックスター』だったと指摘。自らの死さえも作品の一部へと変えたボウイの創造性を、音と身体によって舞台上に再構築するという。
音楽には、ボウイの代表曲と本人のオリジナル・ヴォーカルを使用。世界各地で録音される民族音楽に根差したコーラスを重ね、さらにスペインのヴォーカリスト、マリア・アルナルの歌声を交えることで、ボウイの音楽を新たな文脈へと置き直す。
制作陣には、モラウの『Notte Morricone』でも協働したアレックス・レーザー・ヴァティシェとベン・メールヴァイン(OZCUR)が作曲で参加。衣裳をシルヴィア・ドゥラニョー、舞台美術をマックス・グレンツェルが担当する。

モラウは2005年にラ・ヴェロナルを設立し、演劇、写真、映像、ダンスを横断する独自の舞台表現を展開してきた。2013年にスペイン国家舞踊賞を受賞し、2023年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。ドイツのダンス専門誌『tanz』では2023年と2025年に年間最優秀振付家に選出されている。
今回のプロジェクトで公開されたメインビジュアルにも、ボウイと日本のファッションの深い関係が反映されている。モチーフとなったのは、山本寛斎がデザインし、ボウイが1973年にステージで着用したことで知られる衣裳「TOKYO POP」。写真家の下村一喜が撮影を手がけ、ボウイの視覚的なレガシーを現代に蘇らせている。
音楽家であると同時に、ファッションや映画、パフォーマンスを通じて自己のイメージを絶えず更新してきたボウイ。その創造性は、ジャンルの境界を横断しながら身体表現を探究するモラウの芸術と、どのように交差するのか。
『ダンス・フォー・ボウイ』の東京公演は2029年春を予定。会場やチケット情報などの詳細は今後発表される。