越境型デザインイベント「alter. 2026, Tokyo」開催。75名のクリエイターが問い直すプロダクトの価値

異業種のクリエイターがチームを組んで実験的なプロダクトをプレゼンテーションするデザインイベント「alter.」が今年も開催される。展示だけでなく、プロダクトに触れたり来場者とクリエイターとの交流を促す場が新設され、プロダクトデザインの新たな可能性を見せる試みとなりそうだ。

Photo Courtesy of alter.

10月29日から11月1日まで、東京・日本橋三井ホールでデザインイベント「alter.」が開催される。

2025年に始動したalter.は、異なる業種のクリエイターがチームを組んで新たなプロダクトのプロトタイプを提示する、異色のデザインイベントだ。一般的なデザインイベントとは異なり、出展者から出展料をとらず各展示に最大300万の制作費を補助。完成したプロダクトだけを展示するのではなく、展示空間やその場での体験も含めてデザインすることが求められる。昨年は計11組・59名のクリエイターが集まり、3日間で約3,500人が来場した。

昨年と同様、展示プロジェクトを選定したのは、国内外の有識者5名からなるコミッティだ。今年は、パリ・ファッションウィーク期間中にチュイルリー公園で開かれるデザインサロン「MATTER and SHAPE」のアーティスティック・ディレクターを務める編集者のDan Thawley、家具と彫刻とファッションの境界を横断するデザイナーのFaye Toogood、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムのキュレーターであるJohan Deurell、『Wallpaper*』のミラノ・エディターを務めるジャーナリストのLaura May Todd、そして2025年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で日本館のキュレーターを務めた建築家の青木淳。コミッティはすべての応募に目を通し、複数回にわたる検討会を経て展示プロジェクトを決定している。

Dan Thawley
Faye Toogood
Johan Deurell
Laura May Todd
青木淳

また、2年目を迎えるにあたり、alter.はコミッティとの議論を経て会場構成を大幅にアップデート。今年はメインプログラムの「EXHIBITON」に加え、「CIRCUIT」「LOUNGE」が新設され、ただプロダクトを見て帰るだけではなく、実際にプロダクトに触れられる機会や出展者とのコミュニケーションを生み出す場が設けられている。

今回の「EXHIBITION」では、60組を超える応募のなかから選ばれた9組のプロジェクトが展示を行う。日本国内だけでなく海外からも多くの応募が集まったほか、昨年以上にさまざまな領域のクリエイターが参画するプロジェクトが並んでいる。なかにはポストデジタル時代の記号を扱う現代美術家・松田将英による「Loophole」や、パフォーマンスユニット「正直」でも知られるアーティストの小林椋や音楽家の荒井優作らによる「Obscured Apparatus」など、アートの領域でも活躍を見せるクリエイターが中心となったプロジェクトも。そのほかにもテキスタイル、建築、写真、グラフィックデザインなど、さまざまなバックグラウンドをもった若手クリエイターたちによる実験的なプロダクトが会場に並ぶ。

EXHIBITIONに並ぶ9つのプロジェクト。数百年続く伝統技法へアプローチするものからデジタル時代の記号を扱うものまで、多種多様なコンセプトから新たなプロダクトが提示される。

「回路」や「循環」を意味する「CIRCUIT」は、展示に留まらず私たちの生活とプロダクトを接続するエリアだ。今年の応募プロジェクトのなかからピックアップされたものや協賛企業であるカリモク家具とクリエイターによる実験的な制作物、昨年のalter.で展示されたプロトタイプが発展したプロダクトのほか、NOTA_SHOPの加藤駿介とYOU ARE WELCOMEの矢口周太郎、CIBONEの今川拓人という気鋭のキュレーターがセレクトしたプロダクトが並び、どれも購入可能。実験的なものも多いが、いわゆる「展示」や「ショップ」とは異なるかたちでプロダクトに出会える場がつくられている。

CIRCUITにも実験的なプロダクトが並ぶ。なかにはカリモク家具とのコラボレーションによるプロダクトも。

一方の「LOUNGE」は、来場者同士や出展者のコミュニケーションを促す場として立ち上げられた。エリア内のバーでは日ごとに異なるバーテンダーやバリスタが立ちドリンクを提供するほか、一角に設けられたスタジオでは出展者が出演するトークプログラムを配信・収録。出展者が自身のプロダクトや展示について語れる場を設けることで、展示だけでは伝えきれないものづくりの背景や制作プロセスについて共有できる機会となっている。さらに本エリアには、グラフィックデザイナーやアーティストなど計10名近いクリエイターが設計した「フック」が並ぶクロークも設けられている。実際のプロダクトに触れられる場をつくるとともに、イベント会場におけるクロークの役割を見直す試みも展開されている。

近年はアートイベントにおいても作品鑑賞に留まらないコミュニケーションや体験が重視される機会は増えているが、alter.もまた、実際にプロダクトに触れ、クリエイターと対話できる場をつくることで、プロダクトデザインの可能性を拓いていく場になりそうだ。

alter. 2026, Tokyo
会期:2026年10月29日(木)〜11月1日(日)
時間:10月29日〜31日 12:00〜20:00、11月1日 12:00〜19:00
会場:日本橋三井ホール(東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 5F/エントランス4F)
料金:1日券2,000円、4日通し券3,000円。
※学生証を提示できる方および小学生以下は入場無料。学生無料券も事前登録が必要。

あわせて読みたい