2026年デュシャン賞はブロニョン&ロランが受賞。人間の弱さや内面世界を探求する作品を評価
2026年のマルセル・デュシャン賞の受賞者に、アーティスト・デュオのデヴィッド・ブロニョンとステファニー・ロランが選ばれた。断酒の節目に贈られる記念コインとメダル落としのゲーム機を用いた「人々のものの見方を変える」作品が高く評価された。
2026年のマルセル・デュシャン賞の受賞者に、アーティスト・デュオのデヴィッド・ブロニョン(David Brognon)とステファニー・ロラン(Stéphanie Rollin)が選ばれたことが、10月22日に発表された。2人はインスタレーションや彫刻、映像、パフォーマンス、写真など、幅広い表現手法で制作を行っている。
マルセル・デュシャン賞はフランスで最も権威ある現代美術賞のひとつで、受賞者には3万5000ユーロ(約615万円)が贈られる。毎年4組の候補者が選出され、例年10月にはポンピドゥー・センターで合同展が開催されてきたが、同館は現在、大規模改修のため長期休館中(2030年再開予定)につき、パリ市立近代美術館が会場となっている。4組のファイナリストには、ブロニョン&ロランのほか、マダガスカル出身のアーティスト、ジョエル・アンドリアノメアリソア(Joël Andrianomearisoa)、2025年のサンパウロ・ビエンナーレに参加したジョゼファ・ントゥジャム(Josèfa Ntjam)、アーティストで映像作家のローラ・アンノ(Laura Henno)が選出されていた。
パリ市立近代美術館での展覧会に向けて、ブロニョン&ロランはインスタレーション作品《5,376 years, 1,892 months, 1,110 days, 1,201 hours》(2026)を発表した。この作品には、アルコホーリクス・アノニマス(アルコール依存症からの回復を目指す自助グループ)などで断酒を続けた期間に応じて贈られる記念コインが用いられている。コインはメダル落としのゲーム機に敷き詰められており、依存症からの回復過程で経験する時間の経過や、その不安定さを表現している。パリ市立近代美術館館長のファブリス・エルゴットは声明で、本作をこう評した。
「待ち続ける時間や依存症、内なる回復力など、普段は目に見えないものを形にするブロニョンとロランの妥協のない創作活動を、私たちは高く評価しました。ゲーム機を巧みに取り入れた今回のインスタレーションは、私たちのものの見方を根本から変えます。人間の弱さや内面世界の探求について、静かに、しかし粘り強く訴えかける作品です」
今年の審査員団は、ポンピドゥー・センター国立近代美術館館長のグザヴィエ・レイを委員長とし、フランス現代美術国際化推進会(ADIAF)会長のクロード・ボナン、パリ市立近代美術館館長のファブリス・エルゴット、アーティストのカデル・アティアとベルリンデ・デ・ブリュイケールら10人で構成された。
同賞を創設したADIAFは、受賞者への賞金とは別に、候補者とその所属ギャラリーに対して総額4万ユーロ(約700万円)の追加支援を提供するほか、専用の年次刊行物でも候補者を紹介している。
マルセル・デュシャン賞の展覧会は、2027年2月7日までパリ市立近代美術館で開催中。企画を担当したのは、同館のチーフキュレーター、オディール・ブルルローと、ポンピドゥー・センター国立近代美術館のキュレーターで、カンディンスキー図書館の責任者を務めるニコラ・リュッチ=グトニコフだ。(翻訳:編集部)
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