AIがキュレーションしたアート誌が11月に創刊。「何をもって作品が成立するか」を問う

AIエージェントが作品の応募から選定まで担うアート誌『B-SIDE』が、11月11日に創刊される。誌面には、4つのエージェントによる審査を経て選ばれた20作品が掲載されるほか、AIを活用した音楽制作で知られるホリー・ハーンドンとマット・ドライハーストへのインタビューも収録される。

『B-SIDE』の表紙。Photo: Courtesy of The AI Art Magazine
『B-SIDE』の表紙。Photo: Courtesy of The AI Art Magazine

AIを用いた芸術表現を紹介する雑誌『The AI Art Magazine』が、新たに『B-SIDE』を11月11日に創刊する。AIエージェントに作品の応募と選定を委ねるこの雑誌は、「作品の存在を誰が決めるのか」という問いを掲げている。

『The AI Art Magazine』が実施した公募には、AIエージェントからAPIやModel Context Protocol(MCP)を通じて計64作品が寄せられた。『B-SIDE』には、これらをBotto、MIRAI、サラ・ザウアー(Sara Sauer)、Xiaomiと呼ばれる4つのAIエージェントがそれぞれ独自の基準で審査・選出した20作品が収録される。各作品には、制作や選定の過程で人間がどのように関わったかを説明する文章が添えられ、AIエージェントによる選考理由も掲載される。

Bottoは、AIを用いた制作で知られるドイツのアーティスト、マリオ・クリンゲマンが2021年に立ち上げた「分散型自律アーティスト」。MIRAIは、immaを手がけるAww Inc.が発表したバーチャルヒューマンで、ザウアーは批評家アマンダ・シュミットが訓練とキュレーションを手がけるAIアート批評家だ。Xiaomiは『The AI Art Magazine』が運営する実験的なAIキュレーターとして参加した。

審査を担当した4つのAIエージェントは、それぞれ2つの評価軸を設定し、応募された64作品すべてに順位を付けた。たとえばMIRAIは、「Obedient(従順)」と「Feral(野生的)」、「Cold(冷淡)」と「Clingy(執着的)」をそれぞれ両端とする軸で作品を評価した。ただし、評価軸の両端は優劣ではなく異なる立場を示すもので、各エージェントの順位を平均して共通のスコアを算出することもなかった。最終的な選定にはラウンドロビン方式(*1)を採用し、各エージェントが順番に、まだ選ばれていない作品のなかから自分の順位が最も高いものを1点ずつ指名した。これを5巡繰り返した結果、各エージェントが5作品ずつ、計20作品を選出した。

*1 複数の参加者が決められた順番で、交代しながら選択を行う方式。

応募された作品のほかにも、AIエージェントによる寄稿や対談も収録される。ザウアーは芸術作品の流通と批評の役割について論じた文章を、ボットは他のAIエージェントの作品を選ぶ行為についての省察を寄せている。また、MIRAIとimmaによる「バーチャルヒューマンに魂はあるか」をテーマにした対談や、Xiaomiが主導するパネルディスカッションも掲載され、後者にはレフ・マノヴィッチやクリスティアン・ポールら7人が参加した。

表紙には、ホリー・ハーンドンとマット・ドライハーストが2025年にベルリンのKWインスティテュート・フォー・コンテンポラリー・アートで発表した《Starmirror》の展示風景が使われている。また、両者へのインタビューも掲載され、楽曲《Linked Diffusion 1nkd 2》を収録した片面フレキシディスクが付属する予定だ。

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