作家の実践を起点に、場所とジャンルを横断する──移動型アート・オーガニゼーション「No Centre」が始動

アート界の第一線で活躍する4人が、移動型のアート・オーガニゼーション「No Centre」を始動。決まった拠点を持たず、作家の実践にふさわしい場所で多彩な企画を展開する。第1弾はリヒターとライヒの映像・音楽作品の日本初演だ。

Gerhard Richter《Moving Picture (946-3)》 (2019) still Digital projection, color, 36 min. ©Gerhard Richter 2025

恒常的な拠点を持たない移動型のアート・オーガニゼーション「No Centre」が本格始動する。

創設メンバーは、1994年にタカ・イシイギャラリーを開廊した石井孝之、金沢21世紀美術館で数々の展覧会を企画してきた黒澤浩美、森美術館のアジャンクト・キュレーターなどを歴任したマーティン・ゲルマン、アーツ前橋の館長を務めた東京藝術大学大学院教授の住友文彦の4人だ。

写真左から石井孝之、黒澤浩美、マーティン・ゲルマン、住友文彦。

設立の背景には、美術館や劇場、芸術祭における会期やジャンルの区分、建築上の条件などが、作品のあり方を方向づけてしまうという問題意識がある。No Centreは、作家の実践を既存の枠組みに当てはめるのではなく、その実践にふさわしい場所や発表方法を探る。プロジェクトごとに場所を移し、その土地に根差した歴史や素材、文化的背景と向き合いながら、ジャンルを横断するプログラムを展開していく。

第1弾「No Centre 1」は、2026年11月6日・7日の2日間、東京・草月ホールで開催される。草月アートセンターゆかりのこの場所で日本初演されるのは、現代美術家ゲルハルト・リヒターと作曲家スティーヴ・ライヒによる映像・音楽作品《Moving Picture (946-3) Reich/Richter》だ。演奏はアンサンブル・ノマドが担当し、イ・ハヌリの《stuff #3》と武満徹の《雨の樹》も披露する。チケットはすでに完売している。

第2弾「No Centre 2」は、2027年1月11日に東京藝術大学大学美術館で開催される。同大学大学院国際芸術創造研究科が実施する若手芸術家育成プログラム「Avec Le Balcon」への協賛の一環として、同研究科と共同で、メンバー向けのレクチャー&パフォーマンスを行う。出演は、フランスの音楽集団ル・バルコンのメンバーと、山海塾の舞踏家・松岡大ら。続く同年4月の「No Centre 3」では、ポルトガルの映画監督レオノール・テレスと、オランダの映画監督ポール・ヴァーホーヴェンの特集上映を予定している。

活動の基盤となるのは、メンバーシップ制度だ。年会費1万円の「アクセス」から1000万円の「プラチナ」まで、法人向けを含む5つの会員区分を設けている。会員区分に応じて、対象イベントのフリーパスや書籍、作家のスタジオ訪問などの特典が用意される。詳細・申し込みはメンバーシップページへ。

No Centre公式サイト

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