ヨープ・ヴァン・カルデンブルグ(Joop van Caldenborgh)
拠点:オランダ・ワッセナー
職業:化学品製造(Caldic)
収集分野:近現代アート(彫刻、写真、アーティストブック、ビデオ、インスタレーションなど)
オランダの大手化学メーカー、カルディックのオーナーであるヨープ・ヴァン・カルデンブルグは、50年ほど前に現代アートのコレクションを始め、ダミアン・ハースト、トレーシー・エミン、アンゼルム・キーファー、草間彌生、ダン・グラハム、アイ・ウェイウェイなどの大作を所有。デン・ハーグ郊外のワッセナーにあるカルディック・コレクションの彫刻庭園には近現代の作品約60点が設置され、予約制で一般公開されている。
世界有数の資産家でアートコレクターのヴァン・カルデンブルグは、2016年にワッセナーで個人コレクション約500点を展示するフォールリンデン美術館をオープンした。アムステルダム国立美術館の館長だったヴィム・パイベスが引き抜かれ、ヴァン・カルデンブルグの私設美術館を率いることになったが、2人の仕事上の関係は急速に悪化。パイベスは美術館のオープンからわずか3週間後に辞任した。当時パイベスは、辞任は2人の友情を守るためであり、美術館には理事として残るつもりだとニューヨーク・タイムズ紙に語っている。
フォールリンデン美術館を設計したのは、オランダのクライヴァンゲル・アーキテクツ。2016年のニューヨーク・タイムズ紙の記事で、ガゴシアンのロンドン支社ディレクター、マーク・フランシスは、「あらゆる面で美しく、考え抜かれている美術館です。これを実現するためには審美眼と財力の両方が必要ですが、それが揃っている稀有な例と言えます」と絶賛している。同じ2016年、同館の担当者はUS版ARTnewsの取材に、「新設された美術館は、海に近い砂丘と牧草地に囲まれた環境にあります。ここではコレクション展示のほか、企画展も行う予定です」と答えている。
フォールリンデン美術館はオープンした年に、2015年12月に逝去したアメリカの抽象画家、エルズワース・ケリーの初回顧展「Anthology」を開催。同展には、ニューヨーク近代美術館やホイットニー美術館、ロンドンのテート・モダン、パリのポンピドゥー・センター、そしてケリーのスタジオから数々の代表作が貸し出された。