カニエ・ウェスト、名誉博士号の取り消しが決定。「彼の行動は同校の使命と価値観に合致しない」
12月8日、シカゴ美術館付属美術大学(SAIC)は、ラッパーでファッション界にも多大な影響を誇ってきたYe(イェ)こと カニエ・ウェストに2015年に授与した名誉博士号を取り消すと発表した。
SAICの声明には、「同校は、カニエ・ウェストの反黒人、反ユダヤ主義をはじめとする、人種差別や危険な内容の発言を非難し、受け入れません。彼の行動は同校の使命と価値観に合致しないため、名誉学位を取り消すに至りました」と書かれている。
今回の学位取り消しは、ソーシャルメディアや「Fox News」、「Infowars」などのインタビューでカニエが繰り返してきた反ユダヤ的な発言の結果だ。ここ数ヶ月の間に、バレンシアガ、クリスティーズ、そして最も注目すべきは、150万ドル(約2億円)相当の契約を結んでいたアディダスが、すべての関係を断ち切った。一連の出来事を経て、『フォーブス』誌はカニエを億万長者リストから外した。現在の彼の純資産は4億ドル(約500億円)と推定されている。
SAICの決定は、同校の「Against Hate at SAIC」というグループが12月1日にカニエの学位の取り消しを求める嘆願書を提出した後に下されたもの。嘆願書には、「ウェストの憎悪に満ちた発言は暴力を煽っており、彼は我々のコミュニティの価値観を代表する人物にふさわしくありません。学校は直ちに彼の名誉学位を取り消すべきです」と書かれている。
名誉博士号が授与された当初、SAICは彼を次のように評価していた。「教育の擁護者であり、思想家であり、クリエーターであり、しばしば作品を通してステレオタイプを解体し、重要な社会問題についての文化的議論を活性化しています」
Against Hateによる嘆願書にはこうも書かれている。「名誉博士号を受けるに至った彼の貢献にかかわらず、現在知られているように、憎悪と暴力を正当化するために SAIC の名前を使い続けることを許すのは有害です。大学に関わるアーティスト、デザイナー、学者がかかげる正義や、思いやり、憎しみのない自由な表現という価値観に影響を与えるものです」 (翻訳:編集部)
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