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MEET YOUR ARTにアートウィーク東京、ACK etc. 2023年後半に訪れたい日本のアートフェア6選【下半期編】

アート界の第一線で活躍するギャラリストが、その知識や感性で選び抜いた作品が一堂に会する「アートフェア」。作品を購入する絶好の機会でもあり、新たな才能の発見や、トレンドを知る物差しの役割も担う。2023年7月から12月までに開催される注目のアートフェアを紹介したい。

Art Collaboration Kyoto2022年の会場風景。Photo: Studio Sugari

日本では、この5月に本格的な「コロナ明け」を迎えた。国内で開かれるアートフェアも、これまでのパンデミックによる人や国の隔たりをバネにするかのように、国境を越えてその熱を加速させている。2023年下半期に開催するフェアの中には、初開催となる大規模な国際的フェアも。

それぞれに個性あふれる5つのアートフェアの内容を見て行こう。


1. Tokyo Gendai(東京現代)──終了

会場となるパシフィコ横浜。Photo: Wikimedia Commons

今夏、注目せずにいられないのは、初開催の「Tokyo Gendai(東京現代)」。コンテンポラリー(現代)をテーマに、国内外から74ギャラリーが集結する。フェア開催中は、会場が保税展示場となるため、海外からの出展者は関税等を留保した形で美術品を持ち込み、展示することができる。この世界水準の国際的アートフェアを主催するのは、台湾の台北當代やシンガポールアートSGなど、アジア太平洋地域で大規模なアートフェアを手がけてきたジ・アート・アセンブリーだ。

フェアは6セクションで展開する。まずは実力派を集めた「Galleries」。Blum & Poe奈良美智五木田智央、 Sadie Coles HQはサラ・ルーカスやカティ・ヘック、Almine Rechはトム・ウェッセルマンなどの作品を紹介。そのほかに、新たな注目株や中堅を紹介する「Hana」、著名または歴史的に重要なアジアのアーティストを特集する「Eda」、NFTAR(拡張現実)などデジタルアート部門の「Tane」、日本現代作家の作品が揃う「Tsubomi」、国内の芸術文化財団による「Ne」で構成される。彫刻家の大平龍一によるインスタレーション、森美術館館長の片岡真実名和晃平などアートシーンの牽引者によるトークセッションもある。

Tokyo Gendaiと連携して、天王洲アイルでは特別イベント「TENNOZ ART WEEK」(7月7日〜9日)を開催。寺田倉庫(東京都品川区)では、国際的ピアニスト・アーティストの向井山朋子による新作インスタレーション・パフォーマンスが発表される。

日程:2023年7月6日(木)〜 9日(日)(6日はプレビュー)
会場:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
公式サイト


2. ART OSAKA 2023──終了

たかくらかずき《アプデ輪廻 ver1.0》 YOD Gallery

21回目を迎える老舗の現代アートフェア。中之島では「Galleriesセクション」、北加賀屋では「Expandedセクション」が開かれ、この2つのエリアでは、連携企画としてアート施設の特別公開や商店を巡る街歩きなどのイベントも開催される。2拠点をつなぐ船の上で出展作家のトークを聴くクルーズなども。

各ギャラリーがブース形式で出展する「Galleriesセクション」の会場は、大阪を代表する歴史的建築の大阪市中央公会堂。46ギャラリーが参加し、地元大阪からはNii Fine Arts、ギャラリーノマル、アートコートギャラリー、TEZUKAYAMA GALLERYなどが出展。ほかに、京都の小出由紀子事務所、イムラアートギャラリーや、愛知のAIN SOPH DISPATCH。東京からは、ときの忘れもの、西村画廊、メグミオギタギャラリー、小山登美夫ギャラリーなどが来阪。台湾と韓国からの参加もある。

大型作品やインスタレーションを紹介する「Expandedセクション」は、クリエイティブセンター大阪とkagoo(カグー)の2会場で開催。菅木志雄(小山登美夫ギャラリー)、中島一平(Gallery OUT of PLACE)今野健太(HARMAS GALLERY)、大﨑のぶゆき(ギャラリーほそかわ)、黒川彰宣(MORI YU GALLERY)、Dotmasters & 久村卓(ギャラリーかわまつ)らの作品が並ぶ。

日程:「Expandedセクション」2023年7月26日(水)~ 31日(月)/「Galleriesセクション」7月28日(金)~ 30日(日)(28日はプレビュー)
会場:クリエイティブセンター大阪(大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)、kagoo(大阪市住之江区北加賀屋5-4-19)、大阪市中央公会堂3F(大阪市北区中之島1-1-27)
公式サイト


3. ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023

ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022会場風景。

古くからアジアの玄関口を担ってきた地で、「日本とアジアのアートマーケットの架け橋」を掲げて開かれてきた。これまで2会場で開催されていたが、今年はマリンメッセ福岡B館の5000平方メートルという広大な会場に集約される。昨年は80ギャラリーが参加したが、今年は過去最大の117ギャラリーが出展を予定(うち初出展は51ギャラリー)。昨年に引き続き出展するのは、小山登美夫ギャラリー、東京画廊+BTAP、nca | nichido contemporary art、GALLERY TARGET、√K Contemporaryなど。また海外からはYIRI ARTS(台湾)、VIN Gallery(ベトナム)、Artemis ArtArt(マレーシア)らが来日し、韓国香港、台湾や ASEAN 諸国より海外14ギャラリーが参加予定だ。

アジアをコンセプトとしたキュレーションブースや、アジアの作家を紹介するギャラリーによる「ASIA」、実力派ギャラリーが集まる「Unlimited」、オープンスタイルの「The Wall」の3セクションで展開。アジアのアートの魅力を余すところなく堪能できる。

日程:2023年9月22日(金)~ 9月24日(日)
会場:マリンメッセ福岡B館(福岡県福岡市博多区沖浜町2-1)
公式サイト


4. MEET YOUR ART FESTIVAL 2023「Time to Change」

アートを軸に、音楽・食・ファッションなど隣接したカルチャーが一堂に会する「MEET YOUR ART FESTIVAL」。今年は、天王洲の運河エリアを丸ごと使っての開催となる。

見どころは、寺田倉庫G1ビルで開催される、アートエキシビジョン「Intersecting Perceptions -交差する眼差し-」。キュレーター、山峰潤也がジャンルを横断しながらスクリプカリウ落合安奈、竹内公太、西野達、百瀬文、渡辺志桜里ら現代的なテーマを多角的に映し出すアーティストを集めた。

2つのアートフェアも見逃せない。B&C HALLでは、アーティストにスポットを当てた「PICK UP ARTIST」を開催。MEET YOUR ART FESTIVALが選んだ国内の気鋭アーティスト約40人200点以上の作品が並ぶ。E HALLで開催される「CROSSOVER」では、「2023年の日本におけるアートと様々なカルチャーが交差する風景」をテーマに、15組のキュレーター、ギャラリー、アーティスト・ラン・スペースがそれぞれの視点で切り取った展示を展開する。

そのほか運河の船上ステージでは、ミュージシャンによるライブパフォーマンスや、森山未來とスペシャルゲストによるトークセッション、 WHAT CAFEでは、Forbes JAPANとのコラボレーションにより「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出されたアーティストの作品や、アーティストマインドを持つ起業家やサイエンティストのプロトタイプ、コンセプト等の展示を行う。

日程:2023年10月6日(金)〜 9日(月・祝)
会場:寺田倉庫G1ビルほか東京・天王洲運河一帯
公式サイト


5. Art Collaboration Kyoto(ACK) 

2022年のメイン会場風景。Photo: Nobutada Omote Courtesy of ACK

「現代アートとコラボレーション」というテーマのもと、64ギャラリーが国内外から参加する国際色豊かなアートフェア。京都府が主催者に名を連ねる「官民タッグ」も特徴。観光都市・京都から国内外のアート界を盛り上げる。64の出展ギャラリー数の内訳は、国内35と海外29で、そのうち33ギャラリーが初出展となる。メイン会場の国立京都国際会館で、「ギャラリーコラボレーション」と「キョウトミーティング」の2つのセクションに加えて、キュレトリアルテーマに着想を得て構成される「パブリックプログラム」を展開。3回目となる今年のキュレトリアルテーマは、「Visions of a Torn World:循環と共存」。アートを通じて、コロナ禍の分断を経た新しい世界の生き方を模索する。

「ギャラリーコラボレーション」では、国内のギャラリーが海外のギャラリーをゲストに迎え、1つのブースをシェアするという趣向。日本の26ギャラリーが参加し、ホストのANOMALY(東京)がROH(ジャカルタ)とFitzpatrick Gallery(パリ)を招き、Blum & Poe(東京)がMatthew Brown(ロサンゼルス)、スカイ ザ バスハウス (東京)がAxel Vervoordt Gallery (アントワープ)、小山登美夫ギャラリー (東京)がJohyun Gallery (釜山)、imura art gallery (京都)がA PICK GALLERY (トリノ)を迎える。京都ゆかりの国内外の作家をフィーチャーする「キョウトミーティング」には、艸居(京都)、アートコートギャラリー(大阪)、Karma(ニューヨーク)、neugerriemschneider (ベルリン)などが参加する。neugerriemschneiderからは、オラファー・エリアソンのインスタレーションが出品される予定。

パブリックプログラムのキュレーターには太平洋・アジアの歴史学やジェンダースタディーズ専門家のグレッグ・ドボルザークを迎える。

日程:2023年10月27日(金)〜 30日(月)(27日はプレビュー)
会場:国立京都国際会館(京都府京都市左京区宝ヶ池)ほか
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6. アートウィーク東京

東京の街に点在する11の美術館と39のギャラリーを無料のシャトルバスでつなぐ特別な4日間。東京国⽴近代美術館をはじめ、東京都現代美術館や森美術館といった⽇本のアートシーンを牽引する美術館のほか、銀座メゾンエルメス フォーラムや資⽣堂ギャラリーなどのコーポレートギャラリーも参加する。現代アートの草分け的存在の東京画廊+BTAPや、ギャラリー⼩柳、タカ・イシイギャラリーオオタファインアーツ、スカイ ザ バスハウス に加え、今年は⼩⼭登美夫ギャラリー、シュウゴアーツも参加。それぞれのホームグラウンドで作品を見られるのが、このイベントの醍醐味だ。

⼤倉集古館を会場に、今年新たに企画されるのが“買える展覧会”「AWT FOCUS」。出品作品はすべて購入可能で、価値や評価基準がわかりにくいというアートファンも、美術館での鑑賞と作品購⼊の魅力を同時に体感できる。国際的なキュレーターが厳選した映像作品を上映する「AWT VIDEO」、アーティストとのコラボカクテルを提供する「AWT BAR」などのコンテンツも。

参加はほかに、カイカイキキギャラリーミサコ&ローゼン、無⼈島プロダクション、ナンヅカアンダーグラウンド、ウェイティングルーム、ペロタン東京など。新進ギャラリーやアーティスト自身が運営するスペースにも注目したい。

日程:2023年10月31日(火)~ 11月5日(日) (10月31日、11月1日はプレビュー)
場所:東京国⽴近代美術館、東京都現代美術館、森美術館など東京都内 50 の美術館とギャラリー
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