ケイト・モスのマタニティヌードを描いたルシアン・フロイド。娘が被写体の作品がオークションで30億円越の落札予想
2011年に88歳で死去したイギリス人画家、ルシアン・フロイドの20年以上公開されていなかった作品が、来週ロンドンのサザビーズに出品されることが分かった。この絵は自身の娘を描いたもので、最高で2千万ポンド(約33億円)の値がつくと予想されている。
出品される作品は、裸足でマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』を読む娘のイゾベル・ボイトを描いた《Ib Reading》(1997)。フロイドのウエストロンドンのスタジオで数カ月をかけ、70回にわたる制作の末に完成した。
フロイドがボイトを描いた5枚のうちの1枚であり、14人の子どもたちを描いた推定30枚のうちの1枚である。サザビーズの発表によると、これらの作品の多くは、自身が父親としての関係が希薄だった期間を経て、子どもを理解するために制作したものである。
この絵は、2000年にニューヨークで開催されたフロイドの展覧会で公開されたのを最後に、個人コレクションになっていた。
フロイドの作品とそのモデルとの関わりは、今、再び注目を集めている。というのも、その一人であり2005年にフロイドのモデルを務めたケイト・モスが今月初め、フロイドとモスのコラボレーションに光を当てた伝記映画の製作を発表したからだ。
2022年11月、クリスティーズで故ポール・アレンのコレクションから、フロイドが娘のベラを描いた《Large Interior, W11 (After Watteau)》(1981)が出品され、予想価格を上回る8千600万ドル(約117億円)で落札。フロイドの最高額となった。
《Ib Reading》は、3月1日に開催されるオークションに先立ち、現在ロンドンのサザビーズで展示されている。(翻訳:編集部)
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